ニキビ跡 / 制度

美容皮膚科で保険は使える?保険の病名と自費の線

萬見編集部 /公開 2026年10月15日 /更新 2026年10月15日 /確認 2026年10月15日

悩みごとの、保険と自費の線

ニキビ跡や毛穴が気になって美容皮膚科を調べたら、料金表に並ぶのは自費の値段ばかりだった。ニキビやシミなら保険が効くと聞いたけれど、自分の悩みはどうなのか。美容皮膚科で保険証を出せるのかも分からない。

保険が使えるかは、悩みが保険の病名に当たるかと、診療報酬の点数表に処置の区分があるかで決まります。令和8年度の点数表(告示)と留意事項の通知から、6つの悩みを並べました。

悩み保険になる病名・処置点数表の区分自費になるもの
ニキビ保険の塗り薬・飲み薬、面ぽう圧出J057-2 面皰圧出法 49点(薬は処方)ピーリング、光・レーザー
ニキビ跡見当たらない区分が見当たらない凹み・赤み・色の跡の治療
毛穴見当たらない区分が見当たらない開き・黒ずみの治療
シミ太田母斑・外傷性色素沈着症などのレーザーJ054-2 Qスイッチ 2,000〜3,950点年齢とともに出るシミ、そばかす、肝斑
赤ら顔・酒さ毛細血管拡張症の色素レーザー、酒さの塗り薬J054-2 色素レーザー 2,712点毛細血管拡張症以外の酒さへのレーザー
ほくろ病気として切る手術と、病理の検査K005 顔など2cm未満 1,660点、N000 860点見た目のための除去、レーザーで焼く方法

ニキビ跡と毛穴は、治す処置の区分が点数表に見当たらないので、原則として自費です。シミ・赤ら顔・ほくろは、同じ見た目でも、病名が付くかどうかで保険と自費が分かれます。どの行に当たるかは、医師の診断で決まります。

アドバイス

表で見当をつけて、病名は皮膚科で付けてもらおう

表は見当をつけるためのもの。同じ茶色いシミでも、あざと診られれば保険の行に移る。保険の病名がありそうな悩みは、まず保険診療をしている皮膚科で病名を聞き、保険の病名でなければ、そこで初めて自費の見積りを取りに行こう。

保険が使えるのは、2つがそろったとき

保険が使えるのは、病気やけがの治療であることと、院が保険医療機関であることの2つがそろったときです。どちらも健康保険法の63条に書かれています。

病気やけがの治療であること

63条1項は、療養の給付(保険の診療)を「疾病又は負傷に関して」行うと定めています。保険医療機関が守る療養担当規則の条文には「美容」の語がありません。美容の治療が外れるのは、この63条の線と、点数表の個別の決まりによるものです。

たとえば皮膚レーザー照射療法(J054-2)の留意事項は、単なる美容を目的とした場合は算定できないと書いています。年齢とともに出るシミのレーザーが自費になるのは、この一文があるからです。

院が保険医療機関であること

63条3項は、保険の診療を受ける先を、厚生労働大臣の指定を受けた保険医療機関などとしています。窓口で資格の確認を受け、その場で自己負担の分を払う仕組みで(74条)、70歳未満なら原則3割です。

美容皮膚科を名乗る院には、保険診療をしていない院もあります。全国チェーンでは、品川スキンクリニックが治療は健康保険の適応外、共立美容外科が治療はすべて自由診療と、公式サイトに書いています(2026年10月9日に確認)。

アドバイス

予約の前に「保険の診療もしていますか」と聞こう

同じ美容皮膚科の看板でも、保険の診療をする院としない院がある。保険証を出せるかは院の指定で決まり、悩みの種類では決まらない。保険の病名がありそうなら、電話かサイトの「保険診療」の欄で確かめてから予約しよう。

保険になったら、窓口でいくらか

保険の処置の費用は、点数で決まります。1点を10円と数え、3割負担なら窓口ではその3割です。表の区分を、編集部が計算しました。

処置(区分)点数3割負担の計算
面ぽう圧出(J057-2)49点147円
ほくろの切除 顔など・2cm未満(K005)1,660点4,980円
切ったほくろの病理の標本(N000)860点2,580円
色素レーザー 赤ら顔など(J054-2)2,712点8,136円

顔のほくろを2cm未満で切って病理の検査に出すと、2つで2,520点、3割で7,560円です。胴や二の腕、太ももなど露出部以外はK006で、3cm未満なら1,280点(3割で3,840円)になります。ここに初診料・再診料や薬の代金、ほかの検査の点数が加わり、窓口では合計の端数を10円単位に丸めます(75条)。

色素レーザーの点数は「一連」で1回分で、留意事項は一連をおおむね3か月としています。シミに使うQスイッチのレーザーの4段の計算はシミ取りの保険の記事に、ニキビの保険の薬と美容クリニックの自費の違いは男のニキビの記事にまとめています。

保険の対象と言われたら、どの区分の何点になるかを窓口で聞いておこう。

自費になる悩みは、順番を決めてから

ニキビ跡・毛穴・年齢とともに出るシミは、自費です。自費の治療は院が料金を決めるので、同じ悩みでも院ごとに値段も回数も違います。保険の診療と行き来しながら進めるなら、次の順番が分かりやすいと思います。

  1. 表で、自分の悩みの行を見る
  2. 保険の病名がありそうなら、保険診療をしている皮膚科で診てもらう
  3. 保険の病名なら、区分・回数・通う期間を聞く
  4. 自費になる悩みは、回数と総額、麻酔と薬の追加を書いた見積りを取る

毛穴のように、保険の区分が見当たらない悩みだけなら、最初から美容皮膚科の自費の相談に行っても大丈夫です。新しいニキビがまだできているなら、跡の治療より先に、保険の治療でニキビを抑えよう。ニキビ跡の自費の料金はニキビ跡の治療の料金にまとめています。

アドバイス

自費の見積りは、総額で2つの院を比べよう

自費は院ごとに単位も回数も違う。1回の値段だけでなく、終わるまでの回数と総額、麻酔と薬の追加を書いた見積りを受け取り、同じ紙で2つの院を比べよう。

保険と自費は混ぜない。控除は目的で分かれる

保険の治療と同じ流れで、自費の施術を組み合わせること(いわゆる混合診療)は、原則として認められていません。厚生労働省の周知文(令和7年7月9日)は、行った場合は保険の医療も含めて、費用が全額自己負担になると書いています。例外は、評価療養・患者申出療養・選定療養として決められたものだけです(63条2項)。

医療費控除の対象は、医師による診療や治療の対価です(国税庁 タックスアンサー No.1122)。国税庁は、ホクロの除去でも、容姿を美化するための費用は対象にならないと答えています。混合診療と控除の詳しい扱いは、シミ取りの保険の記事にまとめています。

保険の分と自費の分は、会計の前に分けて聞こう。保険で受けた治療の領収書は、1年分まとめて取っておこう。

この記事の結論

美容皮膚科で保険は使えますか

悩みが保険の病名に当たり、院が保険診療をしていれば使えます。ニキビの薬と面ぽう圧出(49点)、太田母斑などのレーザー、病気としてのほくろの切除は保険の区分があり、ニキビ跡・毛穴・年齢のシミは自費です。

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よくある質問

ほくろをレーザーで取ると、保険は使えますか

令和8年度の点数表と留意事項に、ほくろをレーザーで焼いて取る区分は見当たりません。保険の区分があるのは、切る手術(K005・K006)と病理の検査(N000)です。美容医療診療指針はレーザーでの除去を推奨度2(弱く推奨)とし、悪性が含まれる可能性の説明が要ると書いているので、取り方は医師と決めよう。

酒さの赤みは、保険で治療できますか

保険で処方できる酒さの塗り薬があり、その効能に酒さが加わったのは2022年5月26日です(PMDA)。毛細血管拡張症への色素レーザーは2,712点の保険の区分がありますが、日本皮膚科学会のガイドライン2023は、毛細血管拡張症以外の酒さの症状には色素レーザーの保険適用がないと書いています。赤みがどちらに当たるかを、皮膚科で診てもらおう。

シミかほくろか分からないときも、保険で診てもらえますか

拡大鏡で皮膚を見るダーモスコピーには保険の区分(D282-4、72点、4か月に1回)があり、対象に色素性母斑(ほくろ)と老人性色素斑が入っています。3割負担なら216円分です(編集部の計算)。取り方を決める前に、何のシミかを保険の皮膚科で見分けてもらおう。

盛り上がったニキビ跡も、自費ですか

日本皮膚科学会のガイドライン2023は、ニキビ跡を凹んだ跡と盛り上がった跡(肥厚性瘢痕)に分け、盛り上がった跡への注射を推奨度C1(選択肢の一つ)としています。点数表にニキビ跡という区分は見当たらず、保険になるかは付く病名しだいです。保険診療をしている皮膚科で、病名と保険の扱いを聞いてみよう。

70歳を過ぎると、窓口の負担は変わりますか

健康保険法74条は、70歳になる月の翌月から窓口の負担を2割とし、一定以上の報酬がある人は3割のままとしています。この記事の計算は3割の場合なので、2割なら点数に10円と0.2をかけて計算し直そう。

注記

保険の対象と点数は厚生労働省の令和8年度の点数表(告示)と留意事項の通知の原文から、保険の仕組みは健康保険法と療養担当規則の条文(e-Gov)から、ニキビ跡と酒さの治療の推奨度は日本皮膚科学会のガイドライン2023から、編集部が2026年10月15日に確かめて引きました。3割負担の額は、点数に10円をかけて3割にした編集部の計算で、初診料・再診料・薬の代金は入っていません。保険診療の有無は、全国チェーンの院の公式サイトの記載を2026年10月9日に記録したものです。どの悩みが保険の病名に当たるかの診断や、治療を受けた人の体験談は載せていません。 最終更新 2026年10月15日 / 数値確認 2026年10月15日 / 編集方針 / 誤りの指摘