出張買取の書面に要る14項目。欠けていると、8日間のクーリング・オフは始まらない
万見編集部 /公開 2026年9月12日 /更新 2026年9月12日
出張買取(訪問購入)で業者が渡す書面には、物品の種類・購入価格・支払時期・引渡時期・クーリング・オフ・引渡し拒絶の6項目(特定商取引法58条の7)と、業者名・担当者名・年月日・物品名・特徴・型式・解除の定め・特約の8項目(施行規則132条)が要ります。赤枠に赤字で読むべき旨を書き、8ポイント以上の文字で書く決まりです(133条)。
出張買取で渡される書面には何が書いてあるべきですか
物品の種類・購入価格・支払時期・引渡時期・クーリング・オフ・引渡し拒絶の6項目(特商法58条の7)と、業者名・担当者名・年月日・物品名・特徴・型式・解除の定め・特約の8項目(施行規則132条)の14項目です(2026年9月11日確認)。
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- 確認日
- 2026年9月11日(この日に各資料の内容を確かめました)
- 根拠
- 法令の条文と官公庁のページだけを根拠にしています。民間サイトの説明は使っていません。
- 資料
- e-Gov 法令検索 特定商取引に関する法律(58条の7・58条の8・58条の14) 令和8年8月12日施行版
e-Gov 法令検索 特定商取引に関する法律施行規則(132条・133条) 令和8年5月21日施行版
消費者庁 特定商取引に関する法律の解説(令和7年6月1日時点版) 第5章の2 訪問購入
消費者庁 特定商取引法ガイド「訪問購入」
書面は申込書面と契約書面の2種類あり、渡す時点が決まっている
出張買取(訪問購入)では、業者は2つの時点で書面を渡す義務があります。自宅などで買取の申込みを受けたときは、直ちに申込書面を渡します(特定商取引法58条の7第1項)。契約を結んだときは、遅滞なく契約書面を渡します(58条の8第1項)。申込みを受けたその場で契約まで結んだ場合は申込書面は不要で、契約書面だけになります(58条の7第1項ただし書)。
その場で代金を払って品物を受け取る現金取引では、契約書面も「直ちに」渡す決まりです(58条の8第2項)。品物が手を離れる前に、書面が手元にあるのが法律の想定です。「遅滞なく」の日数は条文に無く、消費者庁の逐条解説は通常3〜4日以内と説明しています。
業者は、相手の承諾を得れば、書面の代わりに電磁的方法で同じ事項を提供できます(58条の7第2項)。承諾していない相手にメールだけ送っても、法定の交付にはなりません。
14項目のうち、先に見るのは価格・型式・解除の定め
法律が直接定める記載事項は6つです。物品の種類、購入価格、代金の支払時期と方法、引渡時期と方法、クーリング・オフに関する事項、引渡しの拒絶に関する事項(58条の7第1項1〜6号)。これに主務省令の事項が加わり(7号)、施行規則132条が8つを挙げています。業者の氏名または名称・住所・電話番号(法人なら代表者の氏名も)、担当者の氏名、申込みまたは契約の年月日、物品名、物品の特徴、商標・製造者名・販売者名または型式、契約の解除に関する定め、その他の特約です。
合わせて14項目で、そのうち型式の欄に型番が入ります。ピアノなら型番と製造番号、時計ならリファレンスとシリアルが、この欄に書かれているかを見ます。書かれていなければ、どの品物の契約かを後から特定できません。担当者の氏名と年月日も、後で連絡するときの手がかりになります。
正直に言うと、14項目を当日にすべて読むのは難しいです。先に見るのは、購入価格・型式・契約の解除に関する定めの3つで足ります。残りは受け取った日のうちに確かめれば、8日間の中で間に合います。
書いてはいけないことも決まっている。赤枠・赤字・8ポイント以上
書面の内容には基準があります(施行規則133条1項)。引渡しの拒絶をする人に不利な価格の定めが無いこと、契約の相手方からの解除ができない旨の定めが無いこと、業者側の責任で解除された場合の義務を民法より相手方に不利にしていないこと、法令に違反する特約が無いことの4つです。「キャンセル不可」や「8日以内に断ると減額」は、書面に書けない内容です。
形式にも決まりがあります。書面の内容を十分に読むべき旨を、赤枠の中に赤字で書くこと(133条2項)。文字と数字は日本産業規格の8ポイント以上を使うこと(3項)。赤枠の注意書きが無い書面や、小さな文字で埋めた書面は、この基準を満たしていません。
基準に反する記載があっても、その記載のとおりになるわけではありません。「解約不可」と書かれた書面を理由に解除を断る手口は、消費者庁の事例紹介ページに載っていて、逐条解説は指示や業務停止命令の対象になる行為として挙げています。詳しくは出張買取のクーリング・オフに書いています。
書面が欠けていると、8日間のクーリング・オフは始まらない
クーリング・オフができる期間は、契約書面(それより前に申込書面を受け取っていればその書面)を受け取った日から起算して8日間です(58条の14第1項)。書面が無い場合や、クーリング・オフに関する事項などの記載が欠けた書面しか無い場合は、起算日が来ないので8日間は進行しません。逐条解説がそう説明しています。
書面の不備は、期間が短くなる方向ではなく、始まらない方向に働きます。「契約から8日過ぎたからもう無理」と言われたときは、手元の書面に14項目と赤枠の注意書きがあるかを見てください。欠けていれば、8日間はまだ数え始まっていない可能性があります。通知は書面またはメールなどの電磁的記録で行い、発した時点で効力が生じます(58条の14第2項)。
書面を受け取ったその場で、確かめること
- 購入価格と、型式の欄に自分の品物の型番・製造番号が書かれているか
- 業者の名称・住所・電話番号、担当者の氏名、年月日があるか
- クーリング・オフと引渡しの拒絶に関する事項があり、赤枠に赤字の注意書きがあるか
- 「キャンセル不可」「断ると減額」の記載が無いか。あれば、その記載自体が基準違反
- 受け取った日を控える。8日間はこの日から数える。書面が無ければ、まだ始まっていない
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型番・製造番号・搬出経路。この3つを控えてから2社以上に聞くと、回答の幅が狭まります。
よくある質問
書面をもらっていません。クーリング・オフはできますか
クーリング・オフの8日間は、法定の書面を受け取った日から数えます(特定商取引法58条の14第1項)。書面が無い、または必要な記載が欠けている場合は起算日が来ないので、8日間は進行しません(消費者庁の逐条解説)。書面が無いことは、期間が切れたことではなく、まだ始まっていないことを意味します。
書面の代わりにメールやPDFで送られてきました。有効ですか
業者は、相手の承諾を得たうえで、書面に記載すべき事項を電磁的方法で提供することができます(58条の7第2項)。承諾していないのに送られてきた場合は、法定の交付にあたるかどうかが問題になります。承諾した覚えが無ければ、紙の書面を求めてください。
「キャンセル不可」「8日以内に断ると値引き」と書いてあります
書面には、契約の解除ができない旨を定めてはならず、引渡しの拒絶をする人に不利な価格の内容を定めてはなりません(施行規則133条1項)。この記載があること自体が基準に反していて、記載があってもクーリング・オフと引渡しの拒絶はできます。
領収書や査定書は書面の代わりになりますか
法定の書面は、58条の7と施行規則132条が定める項目をすべて含み、133条の基準(赤枠・赤字の注意書き、8ポイント以上の文字)を満たすものです。金額と品名だけの紙は、この要件を満たしません。