出張買取は危ないのか。相談は年7,523件、何が起きているかを国の資料で確かめた
万見編集部 /公開 2026年9月11日 /更新 2026年9月11日
自宅に買取業者を呼ぶ前に知っておくことを、国民生活センターの相談件数と特定商取引法の条文だけを根拠に整理しました。相談は2023年度の8,623件をピークに2年続けて減っています。何が禁止されていて、呼ぶ前に何を確かめられるかをまとめます。
出張買取は危ないですか
訪問購入の相談は2025年度に7,523件で、2023年度の8,623件から2年続けて減っています。業者名と買い取る品目を名乗らない勧誘や、断った相手への再勧誘は法律で禁じられています(2026年9月11日確認)。
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- 確認日
- 2026年9月11日(この日に各資料の内容を確かめました)
- 根拠
- 法令の条文と官公庁のページだけを根拠にしています。民間サイトの説明は使っていません。
- 資料
- 国民生活センター 訪問購入(各種相談の件数や傾向)
国民生活センター 不用なお皿の買い取りのはずが、大切な貴金属も強引に買い取られた!(2023年9月27日)
国民生活センター きっかけは訪問購入?犯罪まがいの深刻なトラブルにご注意を!(2024年9月18日)
消費者庁 特定商取引に関する法律の解説 第5章の2 訪問購入(令和7年6月1日時点版)
e-Gov 法令検索 特定商取引に関する法律
消費者庁 消費者ホットライン
警察庁 ご意見、各種相談・情報提供等(#9110)
相談は2年続けて減っている。それでも2025年度に7,523件
国民生活センターに登録された訪問購入の相談は、2023年度が8,623件、2024年度が7,909件、2025年度が7,523件です。2023年度をピークに、2年続けて減りました(2026年7月31日更新)。
2026年度は、2026年5月31日現在の登録分で826件です。前年の同じ時点が823件なので、入り方はほぼ同じです。年度の途中の数字なので、前の3年分と並べて増減を読むことはできません。
この件数には、消費生活センター等から国民生活センターに回された経由相談が含まれていません。登録されているのは相談であって、法違反と判断された件数ではありません。
正直に言うと、ここは物足りませんでした。同じページに2022年度以前の数字が無いため、編集部は3年分より長い推移を書けていません。
報告されている手口は、ほとんどが条文で名指しされている
国民生活センターの資料に出てくる手口を並べてみると、その多くが特定商取引法の禁止規定にそのまま当たりました。
始まりは電話です。訪問の承諾をその場で取ろうとし、「何でもよいから不用品はないか」と、断りにくい聞き方をします。「被災地支援のため」「海外支援のため」と親切心に働きかける例も資料に挙がっています。
- 承諾を得ずに突然訪問し、いきなり勧誘を始める。電話では食器や古着と伝えておいて、訪問先で貴金属の売却を勧誘するのも同じ条文で禁じられています(58条の6第1項)
- 断っているのに「売らなくてもいいから見るだけ」「外では話ができない」と粘る(58条の6第2項・第3項)
- 業者名や、買い取る物品の種類を告げないまま話を進める(58条の5)
- 長時間居座る、大声で脅して契約させる(58条の10第3項)
- 品物の種類・特徴・購入価格を書いた書面を渡さない(58条の7の申込書面、58条の8の契約書面)
- クーリング・オフ期間中は引渡しを拒めることを告げない(58条の9)
断ったのに何度も電話がかかってくる事例は、2024年9月18日の資料でも引き続き見られると報告されています(58条の6第3項)。
名乗りと勧誘に関する58条の5・58条の6は、違反そのものに罰則がありません。指示(58条の12)と業務停止命令(58条の13)の対象になります。
相談の当事者は60歳以上が8割近く、女性が75.7%
2022年度に受け付けた相談の年代別内訳(n=6,956)は、70歳代1,994件(28.7%)と80歳代1,974件(28.4%)がほぼ並んで最も多く、60歳代1,184件(17.0%)が続きます。以下、50歳代787件(11.3%)、90歳以上353件(5.1%)、40歳代353件(5.1%)、40歳未満311件(4.5%)です。国民生活センターの資料は、契約当事者が60歳以上の割合を「全体の8割近く」と書いています。
男女別(n=7,436)は、女性5,627件(75.7%)、男性1,809件(24.3%)です。
2024年9月18日の資料は、貴金属が持ち去られたような深刻な事例について「主に80歳以上の女性が当事者」と書いています。これは資料が紹介した事例についての記述で、相談全体の構成ではありません。
年代別の内訳は2022年度受付分の数字です。2023年度以降の構成比は、編集部では確認できていません。
家電・家具・自動車は規制の外。切手は中に入る
訪問購入の規制は、すべての品物にかかるわけではありません。施行令34条が挙げる物品は対象から外れます。家電(携行が容易なものを除く)、家具、自動車(二輪を除く)、有価証券、書籍、CD・DVD・ゲームソフトなどです。
外れた物品の取引には、訪問購入の規定そのものがかかりません。書面の交付もクーリング・オフも、訪問購入のルールとしては求められないことになります。冷蔵庫を引き取りに来た業者を思い浮かべると、ここまでに書いた条文番号が並ぶ前提が崩れます。
一方で、郵便切手やはがきは有価証券に当たらず、使用済みかどうかを問わず訪問購入の規制対象と解されています(消費者庁の逐条解説 四〇六頁)。券面に額が刷ってあっても外れない、という線引きです。
呼ぶ前に確かめられるのは、業者が名乗る義務を負っている3つ
業者は勧誘を始める前に、氏名または名称、買い取りの勧誘が目的であること、勧誘する物品の種類、の3つを明らかにしなければなりません(58条の5)。電話でも訪問でも、この3つを聞き返せば、相手が義務を果たしているかがその場でわかります。
「××買取センター」のような架空の名称や通称だけでは、名称を告げたことになりません(逐条解説 四〇七頁)。「不用品」「不必要な物品」という言い方も、物品の種類を明示したことになりません(同 四〇八頁)。訪問を承諾する前に、登記上の名称と、何を買いに来るのかを言葉にしてもらってください。
身分証の携帯と提示は、法律上の義務ではありません。ただし古物商に当たる場合は、行商従業者証などをできる限り携帯し提示することが望まれると、逐条解説(四〇八頁)は書いています。
契約したあとも、法定の書面を受け取った日から起算して8日を経過するまではクーリング・オフができ(58条の14第1項)、その間は品物の引渡しを拒めます(58条の15)。
困ったときの窓口は消費者ホットライン188です。郵便番号などから近くの相談窓口を案内する全国共通の3桁番号で、原則毎日使えます。窓口につながった時点から通話料がかかり、相談自体は無料です。話し中のときは、国民生活センターのバックアップ相談(03-3446-0999、平日10時〜16時)があります。警察に相談するなら警察相談専用電話#9110で、発信地を管轄する警察本部等の窓口につながります。勝手に家に上がられた、脅すような言動をされた、盗難の被害にあったおそれがある場合は直ちに110番するよう、2024年9月18日の資料は呼びかけています。
売る前に
ピアノの査定を頼む前の確認リスト
型番・製造番号・搬出経路。この3つを控えてから2社以上に聞くと、回答の幅が狭まります。
よくある質問
電話では食器と言われたのに、来たら指輪を見せてほしいと言われました
断れます。電話で伝えた品目と違う物を訪問時に勧誘する行為は、飛び込み勧誘と同じく禁じられています(特定商取引法58条の6第1項)。国民生活センターも2023年9月27日の公表資料でこの手口を挙げています。
「被災地支援のため」と言われました。断りにくいのですが
国民生活センターは、親切心につけこむ言い方として「被災地支援のため」「海外支援のため」を挙げています(2023年9月27日公表)。理由が何であれ、勧誘の目的と買い取る品目を告げる義務は変わりません(同法58条の5)。断ったあとの再勧誘も禁じられています(同条の6第3項)。
家電を売るときも、このルールは効きますか
携行が容易なものを除く家電は、訪問購入の規制の対象外です(特定商取引法施行令34条)。家具、自動車(二輪を除く)、有価証券、書籍、CD・DVD・ゲームソフトも同じです。切手とはがきは有価証券に当たらないため、対象に入ります。
困ったときはどこに相談すればよいですか
消費者ホットライン188に電話すると、近くの消費生活センター等の窓口を案内されます。話中のときは国民生活センターのバックアップ相談(03-3446-0999、平日10時から16時)が使えます。身の危険を感じたときや盗難のおそれがあるときは110番するよう案内されています。