買取は手放す、質は預ける。受け戻し・利息の上限・盗品の扱いで違うところと同じところ
万見編集部 /公開 2026年9月12日 /更新 2026年9月12日
買取は物を売って所有権を手放す取引、質は物を預けてお金を借りる取引で、流質期限までは元利金を払えば受け戻せます(質屋営業法17条)。期限を過ぎると質屋が所有権を取得します(18条)。利息の上限は年109.5%です(36条)。質屋も公安委員会の許可制で(2条)、盗品なら1年以内は無償で取り戻せる点は買取店と同じです(22条)。
買取店と質屋は何が違いますか
買取は所有権を手放す取引、質はお金を借りて物を預ける取引で、流質期限までは元利金を払えば受け戻せます(質屋営業法17条)。期限後は質屋の所有になり(18条)、利息は年109.5%が上限です(36条、2026年9月11日確認)。
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- 確認日
- 2026年9月11日(この日に各資料の内容を確かめました)
- 根拠
- 法令の条文と官公庁のページだけを根拠にしています。民間サイトの説明は使っていません。
- 資料
- e-Gov 法令検索 質屋営業法(1条・2条・10条・11条・17条・18条・19条・22条・36条) 令和7年6月1日施行版
e-Gov 法令検索 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(5条)
e-Gov 法令検索 古物営業法(3条・12条・20条) 令和7年6月1日施行版
買取は所有権が移り、質は預けるだけ。どちらも公安委員会の許可制
買取は、物を売って代金を受け取り、所有権を店に移す取引です。質は、物を預けてお金を借り、流質期限までに元金と利息を返せば物が戻る取引です。質屋営業法は質屋営業を「物品を質に取り、流質期限までに弁済を受けないときは質物をもって弁済に充てる約款を付して、金銭を貸し付ける営業」と定義しています(1条1項)。買取は「売る」、質は「借りる」です。
どちらも公安委員会の許可が要ります。買取店は古物営業法の古物商の許可(3条)、質屋は質屋営業法の許可(2条1項)で、営業所ごとに所在地の公安委員会が出します。営業所に標識を掲示し、公式サイトに氏名または名称・許可をした公安委員会・許可証の番号を表示する義務も、両方にあります(質屋営業法10条、古物営業法12条2項)。番号の確認方法は買取店の古物商許可の確認方法に書いた手順と同じで、質屋の許可番号も公安委員会に照会できます。
流質期限までは受け戻せる。過ぎたら質屋の物になる
質に入れた物は、流質期限の前ならいつでも、元金と利息を払って受け戻すことができます(質屋営業法17条1項)。受け戻すときは質札を返すか、通帳に受け戻した旨の記入を受けます。質札は受け戻しに要るので、失くさないように保管します。質屋の側は、相手が受け取る権限のある人だと確認しないと質物を返してはならず(2項)、確認して返した場合は正当な返還とみなされます(3項)。
流質期限を過ぎると、質屋はその質物の所有権を取得します(18条1項)。ただし、質屋が処分するまでの間は、元金・流質期限までの利息・期限経過時に更新したとすれば払う利息に相当する金額を払えば、返すように努める定めがあります(同項ただし書)。期限を過ぎた後も、処分される前なら戻る余地が条文に残っています。流質物は古物市場で売却できます(2項)。
正直に言うと、買取と質の一番の違いはここにあります。買取で受け取った代金は、店に戻して物を取り返す仕組みが法律にありません。質は、期限までは戻す仕組みが法律にあります。
利息の上限は年109.5%。1期30日で、数日でも1期分
質屋の利息には上限があり、年109.5%です(質屋営業法36条1項)。出資法5条2項が一般の貸金業に定める年20%を、質屋については109.5%に読み替えていて、1日あたりは0.3%です。月の初日から末日までを1期(30日)として計算し、借りた期間が1期に満たないときも1期として数えます。数日で受け戻しても、利息は1期分かかる計算です。流質期限の長さそのものは、この記事では確認していません。質札に書かれた期限を読んでください。
利率の実際は、上限の範囲で質屋ごとに決めています。質札に利率と流質期限が書かれるので、預ける前に読みます。買取には利息がありませんが、代金が戻らない取引です。短い期間だけお金が必要で、物は手放したくないなら質、手放してよいなら買取、という分かれ方になります。
質屋は出張で質に取れない。預けた物が失われたときの責任も条文にある
質屋は、営業所または質置主の住所・居所以外の場所で物品を質に取ってはなりません(質屋営業法11条)。買取店の出張買取のように、業者が路上や喫茶店で質に取ることはできません。自宅で質に取る場合は認められています。
預けた質物が災害や盗難で失われたときは、質屋は遅滞なく質置主に通知します(19条1項)。質屋と質置主のどちらにも責任が無い事由で質屋が質物を失った場合、質屋は貸したお金を請求する権利を失います(2項)。質屋の責任で失われた場合の損害賠償を、あらかじめ放棄させる契約はできません(3項)。買取では所有権が店に移った後の話なので、この定めに相当するものはありません。
盗品の扱いは、買取店と質屋で同じ1年・無償
盗まれた物や落とした物が質屋にあった場合、被害者や遺失主は、盗難または遺失の時から1年以内なら無償で回復を求めることができます(質屋営業法22条)。質屋が同種の物を扱う業者から善意で質に取っていても同じです。買取店(古物商)についての古物営業法20条と、期限も内容も同じ定めです。
質に入れる前・買取に出す前に、確かめること
- 手放してよいなら買取、期限までに戻したいなら質。質は利息が1期(30日)単位でかかる
- 質札の流質期限と利率を読む。上限は年109.5%(1日0.3%)
- 質屋・買取店とも、公安委員会の許可番号を控え、一覧と照合する
- 質は営業所か自宅でしか取れない。路上や店舗以外の場所で質を持ちかける相手は、質屋営業法の枠の外
- 自分の物でない物を質に入れない。盗品は1年以内なら無償で持ち主に戻る(質屋営業法22条)
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型番・製造番号・搬出経路。この3つを控えてから2社以上に聞くと、回答の幅が狭まります。
よくある質問
質に入れた物は、いつまで受け戻せますか
流質期限の前なら、いつでも元金と利息を払って受け戻せます(質屋営業法17条1項)。流質期限は質契約で定められ、質札や通帳に書かれています。期限を過ぎると質屋が所有権を取得しますが、処分するまでの間は元利金相当額を払えば返すよう努める定めがあります(18条1項ただし書)。
質屋の利息はどのくらいですか
上限は年109.5%で、1日あたり0.3%です(質屋営業法36条)。利息は月の初日から末日までを1期(30日)として計算し、借りた期間が1期に満たなくても1期分として計算します。実際の利率は上限の範囲で質屋ごとに決めています。
質屋に出張で来てもらうことはできますか
質屋は、営業所または質置主の住所・居所以外の場所で物品を質に取ることができません(質屋営業法11条)。営業所に持ち込むか、自宅で質に取ってもらう形になり、買取店の出張買取のような訪問購入の規制は質には別の形でかかります。
預けた物が質屋で盗まれたり壊れたりしたらどうなりますか
質屋は遅滞なく質置主に通知しなければなりません(質屋営業法19条1項)。質屋と質置主のどちらの責任でもない事由で質屋が質物を失ったときは、質屋は貸したお金を請求する権利を失います(2項)。質屋の責任で滅失した場合の損害賠償請求権を、あらかじめ放棄させる契約はできません(3項)。