盗まれた物が買取店にあったら、1年以内なら無償で取り戻せる。買った側と売った側で違う決まり
万見編集部 /公開 2026年9月12日 /更新 2026年9月12日
盗まれた物や落とした物が買取店に持ち込まれていたとき、被害者は盗難・遺失から1年以内なら古物商に無償での返還を求められます(古物営業法20条)。買取店以外の人が持っている場合は民法193条で2年、市場や商人から善意で買った人には代価の弁償が要ります(194条)。売った側には取引の記録が3年残ります(古物営業法18条)。
盗品だった物を買取店で買った、または自分の物が買取店にあったらどうなりますか
盗まれた物が買取店にあれば、盗難から1年以内は無償で返還を求められます(古物営業法20条)。買取店以外の人が持つ場合は2年(民法193条)で、市場や商人から善意で買った人には代価の弁償が要ります(194条)。2026年9月11日確認。
売る前に
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- 確認日
- 2026年9月11日(この日に各資料の内容を確かめました)
- 根拠
- 法令の条文と官公庁のページだけを根拠にしています。民間サイトの説明は使っていません。
- 資料
- e-Gov 法令検索 古物営業法(16条・18条・20条) 令和7年6月1日施行版
e-Gov 法令検索 古物営業法施行規則(17条・18条) 令和8年8月12日施行版
e-Gov 法令検索 民法(192条・193条・194条) 令和8年6月24日施行版
e-Gov 法令検索 質屋営業法(22条) 令和7年6月1日施行版
自分の物が買取店にあったら、盗難から1年以内は無償で取り戻せる
盗まれた物や落とした物が買取店に持ち込まれていたとき、被害者や遺失主は、古物商に対して無償での返還を求めることができます(古物営業法20条)。古物商がその物を公の市場や同業者から善意で仕入れていた場合でも、無償です。期限は盗難または遺失の時から1年で、1年を過ぎた後はこの定めが使えなくなります(同条ただし書)。
条文が「無償で」と書いているのは、次の見出しで書く民法の一般の定めと違う点です。買取店が代金を払って仕入れた物でも、被害者はその代金を弁償せずに返してもらえます。対象から外れているのは、指図証券・記名式所持人払証券・無記名証券だけです。質屋が質物や流質物として持っている場合も、質屋営業法22条に同じ1年・無償の定めがあります。
1年という期限は、盗難や遺失の時から数えます。買取店に持ち込まれた日や、自分がそれに気づいた日ではありません。気づいたときに残っている期間は、1年より短いのがふつうです。
買取店以外の人が持っていれば2年。市場や商人から買った人には代価を払う
買取店ではなく、一般の人が持っている場合は民法の定めによります。動産を取引で平穏かつ公然に、善意・無過失で占有し始めた人は、その動産の権利を即時に取得します(民法192条)。ただし盗品や遺失物については例外があり、被害者や遺失主は盗難または遺失の時から2年間、占有している人に回復を請求できます(193条)。
その占有者が、競売・公の市場・同種の物を扱う商人から善意で買い受けていた場合は、被害者側が代価を弁償しなければ回復できません(194条)。買取店やリサイクル店で買った人は、この「商人から買った人」にあたります。並べると、古物商に対しては1年・無償、一般の人に対しては2年・場合により代価の弁償という2段構えになっています。
正直に言うと、1年を過ぎたあとに古物商に対してどの定めが使えるかは、条文を読んだだけでは一通りに決まりませんでした。古物営業法20条が使えなくなった後は民法の一般の定めに戻ると考えられますが、194条の代価弁償が要るかどうかは、古物商がどこから仕入れたかで変わります。この点は弁護士に確認してください。
売った側は、取引の記録が3年残る
買取店は、古物を受け取るたびに帳簿または電磁的な記録に、取引の年月日・品目と数量・特徴・相手方の住所・氏名・職業・年齢・本人確認の方法を残さなければなりません(古物営業法16条)。この記録は最終の記載の日から3年間、営業所に備え付けて保存する決まりです(18条1項)。売った人の氏名と住所が、3年間は店に残ります。
代金の総額が1万円未満の取引では記録の義務が免除されますが、美術品類・時計と宝飾品類・自動車・自動二輪車と原動機付自転車は金額に関係なく記録が要ります(施行規則18条1項)。帳簿を失くしたり壊したりしたときは、店は直ちに警察署長に届け出なければなりません(18条2項)。
売った物が後から盗品だと分かった場合、この記録から売主にたどり着きます。自分の物ではない物(家族の物、預かっている物、遺品で持ち主が確定していない物)を売るときは、持ち主の同意を先に取っておくのが、記録が残る側としての備えです。本人確認の仕組みは買取で本人確認が必要な理由に書いています。
見つけたときの手順は、警察への届出が先
自分の物が買取店やフリマの出品にあるのを見つけたときは、先に警察へ盗難届か遺失届を出します。古物営業法20条の「被害者又は遺失主」として求める以上、盗難や遺失の事実を示すものが要ります。届出の受理番号を控えたうえで、買取店に連絡します。
店が応じない場合や、1年を過ぎている場合は、民法の定めに移ります。条文の当てはめは事情で変わります。迷ったら、先に警察へ届け出ます。買取店が古物商の許可を持っているかどうかは、買取店の古物商許可の確認方法の手順で確かめられます。無許可の店には、そもそも古物営業法の記録の義務がかかっていません。
買う前・売る前に、控えておくこと
- 買う側: 店名・許可番号・購入日・レシートを残す。商人から善意で買った人は、代価の弁償を受けられる立場(民法194条)
- 売る側: 自分の物でない物は、持ち主の同意を先に取る。記録に自分の氏名と住所が3年残る(古物営業法16条・18条)
- 盗まれた側: 盗難届の受理番号を控え、盗難の日付から1年の期限を数える(古物営業法20条)
- 型番・製造番号・特徴を書き留めておく。見つけたときに自分の物だと示す材料になる
- 断定できない場面では、警察相談(#9110)か弁護士へ
売る前に
ピアノの査定を頼む前の確認リスト
型番・製造番号・搬出経路。この3つを控えてから2社以上に聞くと、回答の幅が狭まります。
よくある質問
盗難から1年を過ぎたら、もう取り戻せませんか
古物営業法20条の「無償で」の定めは、盗難または遺失の時から1年を過ぎると使えなくなります(同条ただし書)。その後は民法の一般の定めによることになり、193条の2年間の回復請求はできても、194条の代価の弁償が必要になる場合があります。個別の事情で結論が変わるので、弁護士に確認してください。
買取店やリサイクル店で買った中古品が盗品だったら、取り上げられますか
競売・公の市場・同種の物を扱う商人から善意で買い受けた人に対しては、被害者や遺失主は代価を弁償しなければその物を回復できません(民法194条)。買取店は同種の物を扱う商人にあたるので、買った側は代価の弁償を受けられる立場です。
落とし物が買取店に持ち込まれていた場合も同じですか
同じです。古物営業法20条は「盗品又は遺失物」を並べて書いていて、落とした物も1年以内なら無償で回復を求められます。質屋にある場合も、質屋営業法22条に同じ内容の定めがあります。
家族が勝手に持ち出して売った物は、盗品として取り戻せますか
家族の物の持ち出しが盗難にあたるかは事情によって変わり、公的資料には一律の答えがありません。買取店には相手方の住所・氏名を含む取引の記録が3年残るので(古物営業法16条・18条)、誰が売ったかは店の記録で分かります。警察または弁護士に相談してください。