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クリニックは口コミを頼める?医療広告の線

萬見編集部 /公開 2026年10月15日 /更新 2026年10月15日 /確認 2026年10月15日

頼んだ時点で、口コミは広告になる

院の口コミを増やしたい。けれど、医療の広告には決まりが多く、患者に頼んでよいのか、院のサイトに載せてよいのかが分からない。

医療法施行規則(1条の9)は、患者の主観や伝聞に基づく、治療の内容や効果の体験談を広告に使うことを禁じています。厚生労働省の医療広告等ガイドラインは、体験談の中身が広告できる範囲のものでも、広告は認められないとしています。

こんなとき医療広告の扱い
患者が自分から口コミサイトに書く院が頼んでいなければ、広告に当たらない
院が肯定的な口コミを頼む有償・無償を問わず、広告の規制を受ける
院が謝礼を払う・約束する広告の規制を受ける
院のサイトに患者の体験談を載せる広告に当たり、禁止

ガイドラインのQ&Aは、院が患者やその家族に「有償・無償を問わず」肯定的な体験談の投稿を頼むと、その体験談は広告の規制を受けるとしています。医療機関は、良い口コミを頼むこと自体を控えよう。

景品表示法でも、2つの医療法人に措置命令

医療の広告の決まりとは別に、景品表示法のステマ規制(2023年10月1日施行)もかかります。消費者庁がこの規制で出した措置命令のうち2件は、Googleマップの口コミを巡る医療法人でした。

命令の日医療法人したこと
2024年6月6日祐真会(内科)星5か星4を投稿すれば、インフルエンザワクチンの接種費用を割引
2025年3月17日スマイルスクエア(歯列矯正)星5を投稿すれば、QUOカード5,000円分か治療費5,000円引き

どちらも、星の数を条件にしたことで、口コミが院の広告と扱われました。Googleマップの決まりも、割引などの見返りと引き換えの口コミを禁じています。ホットペッパービューティーの美容クリニックの規約(2026年9月7日適用)は、医療機関からの依頼に基づいて口コミを書くこと自体を禁じています。

アドバイス

受付の案内も、一度見直そう

「口コミで割引」の掲示や、会計時の声かけが残っていないか、受付と院内の掲示を確かめよう。スタッフが善意で続けていることもある。

院のサイトに口コミを載せない

ガイドラインは、院が自分のウェブサイトに載せる治療の内容や効果の体験談は広告に当たるとしています。Q&Aは、院に都合のよい感想を選んで載せて強調すれば、虚偽・誇大に当たるとし、口コミをもとにランキングを付けて特定の院を強調するサイトは、比較優良広告に当たる可能性があるとしています。

術前術後の写真

治療の前と後の写真は、治療の内容や費用、主なリスクや副作用の詳しい説明を添えなければ載せられません。説明をリンク先に置いたり、極端に小さい字で書いたりする形もだめだとしています。

違反はどれくらい見つかっているか

厚生労働省の医療機関ネットパトロールは、2025年度(2026年2月末まで)に6,324サイトの通報を受けました。審査した2,092サイトのうち1,842サイトに違反があり、違反の中で体験談は274件、術前術後の写真は745件でした。

院のサイトやSNSには、口コミや体験談を載せないと決めておこう。

返信に、受診の事実を書かない

口コミへの返信を直接扱った国の資料は、見当たりません。ただ、医療機関には返信にも関わる決まりが2つあります。

守秘義務

刑法134条は、医師・薬剤師・助産師が、仕事で知った人の秘密を正当な理由なく漏らすことを罰しています。条文に歯科医師の語はありませんが、個人情報保護委員会と厚生労働省のガイダンスは、歯科医師の守秘義務の根拠をこの条と整理しています。看護師は保健師助産師看護師法42条の2で、同じ義務を負います。

個人情報保護法

病歴は「要配慮個人情報」(2条3項)で、本人の同意なく第三者に渡すことはできません(27条1項)。ガイダンスは、報道機関への公表にも本人の同意が要るとしています。

こうした決まりから、萬見は次のように読んでいます。返信で、その人が受診したことや病状、治療の中身に触れない。

アドバイス

返信の型を、院で1つ決めておこう

「ご意見をありがとうございます。個別の診療についてはお答えできませんので、恐れ入りますが院までお電話ください」。受診の有無に触れずに答えられる文を、院で決めておこう。

萬見での医療機関

萬見では、医療機関の店のページに広告を載せていません。医療機関が集めた体験談は広告になりうるため、院から患者へ渡す口コミの招待は作れない決まりにしています。

口コミへの返答と、基準に反する口コミの申し立ては、どの院でも無料です。返信の書き方は悪い口コミにどう返信する?に、口コミを頼むときの決まりは口コミを増やすには?にまとめています。

この記事の結論

クリニックや歯科医院は、患者に口コミを頼んでもよいですか

良い口コミを頼むと、有償でも無償でも、その口コミは医療の広告の規制を受けます。患者の体験談は広告に使えません。Googleマップで星5と引き換えに割引した2つの医療法人には、消費者庁が措置命令を出しています。頼まずに、返信で応えよう。

医療機関の方へ

萬見の口コミへの返答は、どの院でも無料です

医療機関の店のページに広告は載せていません。院から患者への口コミの招待は、作れない決まりにしています。

よくある質問

「口コミを書いてくれたら次回割引」なら、よいですか

景品表示法では、内容を指示しない割引だけなら通常は違反ではないと消費者庁は答えています。ただ、医療広告等ガイドラインのQ&Aは、院が肯定的な体験談の投稿を頼めば有償・無償を問わず広告の規制を受けるとし、Googleマップも割引と引き換えの口コミを禁じています。医療機関はやめておこう。

患者が書いてくれた良い口コミを、院のサイトやSNSで紹介してもよいですか

できません。ガイドラインは、院が自分のサイトに載せる治療の内容や効果の体験談は広告に当たるとし、体験談の広告は禁止されています。

Googleマップに患者が書いた口コミは、医療広告になりますか

患者が自分から書いたものは、通常は当たりません。ガイドラインは、第三者が運営する口コミサイトの体験談は、院が費用を出して頼むなどの誘引性が無ければ広告に当たらないとしています。

違反していそうな医療機関のサイトを見つけたら、どこに知らせますか

厚生労働省の委託事業の「医療機関ネットパトロール」のサイトから通報できます。通報の項目には、口コミや体験談を載せている、ビフォーアフター写真を載せている、などがあります。

注記

医療広告の決まりは厚生労働省の医療広告等ガイドライン(2026年3月30日最終改正)とそのQ&Aから、措置命令は消費者庁の報道発表資料から、守秘義務と個人情報の決まりはe-Gov法令検索と個人情報保護委員会・厚生労働省のガイダンスから、編集部が2026年10月15日に確かめて引きました。口コミへの返信への当てはめは編集部の読み方です。個別の判断は、所管の保健所や弁護士に相談してください。この記事に広告は載せていません。 最終更新 2026年10月15日 / 数値確認 2026年10月15日 / 編集方針 / 誤りの指摘