給湯器 / 制度
賃貸の給湯器が壊れたら、誰が払う?
萬見編集部 /公開 2026年10月18日 /更新 2026年10月18日 /確認 2026年10月18日
修繕は、原則として貸主の負担
借りている部屋で、朝からお湯が出ない。自分で業者を呼んで直してよいのか、費用は自分で払うのか、大家さんに言うべきなのかが分からない。
民法606条は、貸主は貸している物を使うのに必要な修繕をする義務を負う、と定めています。ただし、借りている人の責任で修繕が要るようになったときは除かれます。
| 壊れた理由 | 修繕の負担(原則) |
|---|---|
| 古くなった・自然に壊れた | 貸主 |
| 借りている人の使い方の誤りや不注意 | 借りている人 |
国土交通省の賃貸住宅標準契約書(9条)も、借りている人の責任によるものは借りている人、それ以外は貸主の負担としています。電球やパッキンのような費用の軽い修繕は借りている人が自分でできる、という別表に、給湯器は入っていません。
まず、貸主か管理会社に連絡しよう。自分で業者を呼ぶのは、その後です。
契約書で確かめる3つ
設備の修繕を誰が負担するかの条項、借りている人が負担する修繕の特約、夜間や休日の連絡先(管理会社の緊急の窓口)の3つを、契約書と入居のときの案内で確かめます。国土交通省の標準契約書は「ひな形」で、実際の契約や特約が優先されることがあります。
連絡するときに伝えること
- いつから、どんな症状か(お湯が出ない・ぬるい・音がする)
- リモコンに出ているエラーの番号
- 給湯器の銘板のメーカー・型番・製造年月
- 本体とリモコンの写真
- 夜間や休日なら、管理会社の緊急の窓口にも連絡したこと
連絡した日時と、話した相手の名前を記録しておきます。エラーの番号の意味や、凍結のときの対処は給湯器のお湯が出ないときは?にまとめています。
アドバイス
電話のあとに、メールかメッセージでも送ろう
電話だけだと、言った・言わないになりやすい。同じ内容を文字でも送っておくと、連絡した記録になる。
直してくれないとき、急ぐとき
民法607条の2は、次のどちらかのとき、借りている人が自分で修繕できるとしています。
- 修繕が要ると貸主に知らせたのに、貸主が相当の期間内に修繕しないとき
- 急迫の事情があるとき
国土交通省の標準契約書(9条4項)も、修繕が要ると知らせたのに、貸主が正当な理由なく修繕しないときは、借りている人が自分で修繕できるとしています。
払った費用の請求
民法608条は、貸主が負担すべき必要費を借りている人が払ったときは、貸主にすぐ返すよう求められるとしています。見積書・領収書・工事の前後の写真をそろえておきます。給湯器を新しいものに替えた場合、その給湯器は部屋の設備になるので、替える前に貸主の了承を取っておくと話がこじれません。
自分で頼むときも、先に貸主へ「この業者で、この金額で直す」と知らせておこう。あとで話がこじれにくくなります。
使えない間の家賃
民法611条は、借りている人の責任でない理由で一部が使えなくなったときは、使えない割合に応じて家賃が減額される、としています。2020年4月1日に施行された民法の改正で、「減額を請求できる」から「減額される」という書き方に変わりました。借りている人の自分で修繕できる場合を定めた607条の2も、このときに新しくできた条文です。残りの部分だけでは借りた目的を果たせないときは、契約を解除できます。
何割減るかは条文に書かれていません。お湯が使えなかった日数と、銭湯などに払った費用を記録し、貸主と話し合います。台所の水は出てお風呂だけ使えない、のように、使えなかった範囲も書き残しておきます。
アドバイス
使えなかった日を、カレンダーに書いておこう
減額の話し合いでは、何日使えなかったかが基準になる。症状が出た日と直った日を残しておこう。
自分の責任で壊したときは
民法606条のただし書きと、標準契約書の9条1項は、借りている人の責任で修繕が要るようになったときは、借りている人の負担としています。何が「借りている人の責任」に当たるかは、壊れた理由で決まります。
使い方の説明書きや、入居のときに受け取った設備の案内を守っていたかが、話し合いの材料になります。壊れたときの状況を、写真とメモで残しておこう。どちらの責任かで迷ったら、消費生活センター(188)に相談できます。
石油給湯機の部屋は
石油給湯機は、経済産業省の長期使用製品安全点検制度の点検の対象です。消費生活用製品安全法(32条の16)は、点検の対象の製品を貸すことを仕事にしている人に、点検などの保守に努めるよう求めています。
石油給湯機の部屋に住んでいるなら、点検の時期の知らせが来ているかを貸主に確かめておこう。
借りている部屋の給湯器が壊れたら、修理代は誰が払いますか
民法606条で、修繕は原則として貸主の義務です。まず貸主か管理会社に連絡しよう。連絡しても相当の期間直さないときや急ぐときは借りている人が修繕でき(607条の2)、使えない間は家賃が減ります(611条)。
業者を調べるなら
給湯器の交換・修理の業者の公開情報
貸主や管理会社に業者の名前を伝えられたとき、許可や保証を確かめられます。
よくある質問
管理会社に連絡がつきません。自分で業者を呼んでもよいですか
民法607条の2は、急迫の事情があるときは借りている人が修繕できるとしています。連絡した日時と内容を記録し、見積書・領収書・壊れた部分の写真を残してから頼もう。
自分で払った修理代は、返してもらえますか
民法608条は、貸主が負担すべき必要費を借りている人が払ったときは、すぐに返すよう求められるとしています。ただし、借りている人の責任で壊れた場合は除かれます。
お湯が使えなかった日の家賃は、減りますか
民法611条は、借りている人の責任でなく一部が使えなくなったときは、使えない割合に応じて家賃が減額されるとしています。いくら減るかは、貸主と話し合って決めます。
契約書に「設備の修理は借主の負担」と書いてあります
国土交通省の標準契約書は、借りている人の責任によるもの以外は貸主の負担としていますが、実際の契約や特約が優先されることがあります。特約の中身で迷ったら、消費生活センター(188)に相談しよう。
注記
根拠にした資料
- 確認日
- 2026年10月18日(この日に各資料の内容を確かめました)
- 根拠
- 法令の条文と官公庁のページだけを根拠にしています。民間サイトの説明は使っていません。
- 資料
- e-Gov 法令検索 民法(606条・607条の2・608条・611条)
国土交通省 賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版・連帯保証人型)
e-Gov 法令検索 消費生活用製品安全法(32条の16)
条文はe-Gov法令検索の現行の条文から、標準契約書は国土交通省の公表資料から、編集部が2026年10月18日に確かめて引きました。個別の契約の判断は、契約書と特約の中身で変わります。この記事に広告は載せていません。 最終更新 2026年10月18日 / 数値確認 2026年10月18日 / 編集方針 / 誤りの指摘