相続した家財の売却は非課税。貴金属・骨とうは亡くなった人の取得費と所有期間を引き継ぐ
万見編集部 /公開 2026年9月12日 /更新 2026年9月12日
相続した家財(生活に通常必要な動産)を売ったお金は、自分で買った物と同じく所得税が非課税です(所得税法9条1項9号)。1個または1組が30万円を超える貴金属・書画・骨とうを売った場合は課税の対象になり、取得費と所有期間は亡くなった人のものを引き継ぎます(60条1項)。相続放棄を考えているなら、売る前に決めることがあります。
相続した物を売ったお金に税金はかかりますか
相続した生活用の家財を売ったお金は非課税です(所得税法9条1項9号)。1個または1組30万円超の貴金属・書画・骨とうは課税の対象で、取得費と所有期間は亡くなった人から引き継ぎます(60条1項、2026年9月11日確認)。
売る前に
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- 確認日
- 2026年9月11日(この日に各資料の内容を確かめました)
- 根拠
- 法令の条文と官公庁のページだけを根拠にしています。民間サイトの説明は使っていません。
- 資料
- e-Gov 法令検索 所得税法(9条1項9号・22条2項・33条・60条) 令和8年8月12日施行版
国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
国税庁 No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)
e-Gov 法令検索 民法(921条) 令和8年6月24日施行版
相続した家財を売ったお金は非課税。相続したことで扱いは変わらない
家具・家電・衣類・食器のような、生活に通常必要な動産を売って得たお金は、所得税が非課税です(所得税法9条1項9号)。この定めは、売る人がその物をどう手に入れたかを問いません。自分で買った家財も、相続した家財も、売ったときの扱いは同じです。申告も要りません。
家財の範囲は、家具や什器、通勤用の自動車、衣服など、生活に通常必要な動産です。国税庁のタックスアンサー(No.3105)がこの範囲と、非課税から外れる貴金属・書画・骨とうの30万円の線を説明しています。ピアノがどちらに入るかを公的資料が答えていないことは、税金の記事に書いたとおりです。
相続税を払ったかどうかも、この判定には関係しません。相続税は相続した時点の財産にかかる別の税で、売ったときの所得税は売った物が何かで決まります。家財の非課税の範囲と、課税になる場合の計算の流れは買取で受け取ったお金の税金に書いています。
30万円超の貴金属・書画・骨とうは課税。取得費と所有期間は亡くなった人から引き継ぐ
生活用動産のうち、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・書画・骨とう・美術工芸品は、非課税から外れます。売って利益が出れば総合課税の譲渡所得で、50万円の特別控除を引いた残りが課税の対象です(33条)。
相続した物をこの区分で売る場合、計算に使う取得費と所有期間は、亡くなった人のものを引き継ぎます。条文は、相続や遺贈、贈与で取得した資産を譲渡したときは「その者が引き続きこれを所有していたものとみなす」と書いています(60条1項)。取得費は亡くなった人が買った金額、所有期間は亡くなった人が買った日から数えます。相続した日や相続税の評価額ではありません。
所有期間が5年を超えるかどうかで、課税される金額の計算が変わります(22条2項2号・33条3項)。亡くなった人が10年前に買った骨とうを相続した翌月に売っても、所有期間は10年として長期の側で計算します。並べてみると、相続した物は自分で買った物より長期の側に入りやすい構造になっています。相続した直後に売っても、それだけで短期になることはありません。
50万円の特別控除は、その年の総合課税の譲渡所得の全体に対して1回です。相続した骨とうを何点も売った年は、合計した利益から50万円を引きます。
亡くなった人がいくらで買ったか分からないとき
取得費を引き継ぐ以上、亡くなった人がいつ・いくらで買ったかの記録が要ります。領収書、保証書、購入時の明細、鑑定書、日記や家計簿の記載が手がかりになります。遺品整理で買取店を呼ぶ前に、高額になりそうな品の購入記録を先に探しておきます。売った後に探すより、片づけの途中の方が見つかります。
記録が見つかっても、相続した物を自分の物と混ぜてしまうと、どれがどの取得費かが分からなくなります。相続した品は、品目・取得の経緯・見つかった記録を1枚にまとめてから、買取店に出す順番にします。
記録が見つからない場合にどう計算するかは、条文だけでは決まりません。個別の事情で結論が変わるので、税務署または税理士に確認してください。この記事では計算例を作っていません。
限定承認をした場合は、引継ぎではなく時価で取得したとみなす
60条1項の引継ぎの定めは、相続のうち限定承認に係るものと、包括遺贈のうち限定承認に係るものを除いています。その場合は、取得のときの価額に相当する金額で取得したものとみなす定め(60条4項)が使われ、取得費の考え方が変わります。限定承認は家庭裁判所への申述で行うもので、単純承認や放棄との違いは遺品を売ると相続放棄できなくなるに書いています。
正直に言うと、相続した物を売る場面で税金より先に効くのは、相続放棄との順番です。放棄を考えているなら、税金の計算の前に、売ってよいかどうかを決める必要があります。放棄をした人は、その物を売る立場にありません。放棄した後に遺品を売って代金を自分のものにすると、単純承認をしたものとみなされます(民法921条3号)。税金以前の問題として、放棄と売却は両立しません。
相続した物を売る前に、確かめること
- 売る物が生活用の家財か、30万円を超える貴金属・書画・骨とうか
- 相続放棄や限定承認を考えているなら、売る前に決める。売ると単純承認とみなされる
- 高額になりそうな品は、亡くなった人の購入記録(領収書・保証書・鑑定書)を先に探す
- 取得費と所有期間は亡くなった人のものを引き継ぐ。相続した日からではない
- 課税になる場合の計算と、記録が無い場合の扱いは、税務署または税理士に確認する
売る前に
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よくある質問
相続税を払った物を売ったら、また税金がかかりますか
相続税と所得税は別の税で、売ったときの所得税は売った物が何かで決まります。生活に通常必要な家財なら非課税(所得税法9条1項9号)、1個または1組30万円を超える貴金属・書画・骨とうなら総合課税の譲渡所得の対象です。相続税を払ったかどうかで、この判定は変わりません。
亡くなった人がいつ、いくらで買ったか分かりません
相続で取得した資産は、亡くなった人が引き続き所有していたものとみなして計算します(所得税法60条1項)。取得費は亡くなった人が買ったときの金額で、所有期間もその取得日から数えます。購入の記録が見つからない場合の扱いは、税務署または税理士に確認してください。
所有期間は自分が相続してからの期間ですか
違います。60条1項により、亡くなった人が所有していた期間を引き継ぎます。総合課税の譲渡所得は、所有期間が5年を超えるかどうかで課税される金額の計算が変わり(所得税法22条2項2号・33条3項)、亡くなった人が長く持っていた物なら、相続した直後に売っても長期の側で計算します。
限定承認をした場合も同じですか
同じではなく、60条1項の引継ぎの定めは、限定承認に係る相続と、包括遺贈のうち限定承認に係るものを除いています。その場合は取得のときの価額で取得したものとみなす別の定め(60条4項)が使われます。限定承認をしたなら、売る前に税務署または税理士に確認してください。