買取全般 / 制度

買取で本人確認が必要なのはなぜ?

萬見編集部 /公開 2026年9月9日 /更新 2026年10月8日 /確認 2026年9月9日

免許証を求めるのは店の判断ではなく、古物営業法15条の義務

ゲームソフトを数本持ち込んだだけなのに、免許証を求められた。 宅配買取なら身分証のコピーだという。どこまで見せればよいのか。

場面本人確認条文
代金の総額が1万円未満原則いらない古物営業法15条2項1号
10,000円ちょうど以上要る15条1項
ゲームソフト・CD・書籍など金額に関係なく要る施行規則16条2項
店頭・出張買取免許証などを見せる施行規則15条1項
宅配買取写しを送るなど施行規則15条3項

条文から作成。

買取店が住所・氏名・職業・年齢の4つ(15条1項1号)を確かめるのは、古物営業法15条1項で古物商に課された義務です。やらなければ店の側が罰則の対象になります(33条1号)。免許証に職業は載っていないので、職業だけは口頭で答えます。

確認した内容は帳簿に残り(16条)、最終記載日から3年間保存されます(18条1項)。確認しなかった古物商は6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(33条1号)、帳簿の不記載・虚偽記載も同じです(33条2号)。33条の罰則の対象は古物商で、売る側ではありません。

並べてみると、1万円以上で確認を省く店こそ、盗品が持ち込まれても記録が残らない店です。法律の目的は1条にあり、愛知県警の解説は、窃盗などの犯罪を防ぎ、被害品を速やかに取り戻せるようにするためだと要約しています。身分証を求められたら、記録を残す店だと受け取ろう。

1万円未満なら不要。ただし7つの品目は金額に関係なく要る

代金の総額が1万円未満の取引では、相手方の確認が免除され(古物営業法15条2項1号、施行規則16条1項)、帳簿への記載(16条)も要りません。「以下」ではなく「未満」なので、10,000円ちょうどの取引は確認が必要です。

総額は一度に持ち込んだ品物の合計額(消費税抜き)で、1点ごとの単価ではありません(警察庁の解釈運用基準 第14の3)。まとめて売るなら、合計で考えよう。

金額に関係なく要る7つの号

施行規則16条2項は、1万円未満でも確認が要る品目を7つの号で挙げています。

  • 自動二輪車・原動機付自転車と、その部分品(ねじ・ボルト・ナット・コードなどの汎用部品を除く)
  • エアコンの室外ユニットと、電気温水機器のヒートポンプ
  • 家庭用コンピュータゲームソフト
  • CD・DVDなどの光学記録媒体
  • 電線
  • 金属製グレーチング
  • 書籍

令和7年(2025年)10月1日施行の改正で、エアコン室外ユニット・ヒートポンプ・電線・金属製グレーチングが足されました。室外ユニットとヒートポンプは同じ号(2号)なので、号で数えると7つです。金属盗が急増し、被害品が1万円未満で取引されていた実態を受けた追加です(警視庁・愛知県警の改正案内)。

「ゲームソフト」はPC用も含みます。「CD・DVD等」はCD・LD・DVD・ブルーレイなどの光学式ディスクで、カセットテープ・ビデオテープ・FD・MD・フラッシュメモリは含みません(解釈運用基準 第14の3)。

アドバイス

ゲームや本を売る日は、少額でも身分証を持って行こう

ゲームソフト・CD・DVD・書籍は、安くても確認が要る。売る物に1つでも混ざるなら、免許証かマイナンバーカードを用意しよう。ほかの物だけなら、合計が1万円未満かで決まる。

本人確認が必要になる条件と、対面・非対面で認められる方法(古物営業法15条、施行規則15条・16条)
本人確認が必要になる条件と、対面・非対面で認められる方法(古物営業法15条、施行規則15条・16条)

店頭・出張買取で使えるのは免許証やマイナンバーカード

対面では、運転免許証やマイナンバーカード(個人番号カード)、身分証明書など、住所・氏名・年齢(生年月日)を証明でき、1人に1通しか発行されない資料を見せる方法が基本です(古物営業法15条1項1号、施行規則15条1項)。

パスポートは、この対面確認では使えません。所持人記入欄に本人が自由に住所を書けるため「住所を証する資料」に当たらないと、警察庁の解釈運用基準(第14の1)が明示しています。顔写真のない健康保険証や学生証、マイナンバーの通知カードが古物営業法上の「身分証明書等」に当たるかは、明示した公的資料を見つけられませんでした。免許証もマイナンバーカードも無ければ、手元の書類で足りるかを店に聞いておこう。

書類が無ければ、住所・氏名・職業・年齢を書いて、店の人の目の前で署名した文書を渡す方法もあります(15条1項2号、施行規則15条2項)。

出張買取も対面取引

出張買取は古物営業法の「行商」です(解釈運用基準 第5の3)。買い取れる場所は、営業所か相手方の住所・居所に限られます(14条1項)。担当者には、求められれば許可証か行商従業者証を見せる義務があるので(11条3項)、免許証を出す前に見せてもらおう。

宅配で簡易書留が届くのは、規則で決まっているから

宅配やネットの買取は非対面取引で、施行規則15条3項に並ぶ13の方法のいずれかで確認しなければなりません(古物営業法15条1項4号)。運転免許証のコピーを送るだけでは、法律の要件を満たしません。

よく使う方法は、3つで1組

典型は施行規則15条3項7号の方法で、次の3つをすべて満たします。

  1. 身分証の写しを受け取る
  2. その住所宛てに書留など転送不要の配達記録郵便物を送り、届いたことを確かめる
  3. 身分証と同じ名義の口座に代金を振り込む

簡易書留も本人名義の口座も、この要件から来ています。写しは、明瞭な画像をメールなどで送る形でも認められます(解釈運用基準 第14の2)。

アドバイス

振込先は、身分証と同じ名義の口座にしよう

身分証と振込先の名義がそろうことが、要件の1つだ。家族名義の口座を指定すると、この号の要件を満たせなくなる。書留が届くのも身分証の住所なので、引っ越したなら、送る前に店に伝えておこう。

ほかの方法(一部)

  • 身分証や住民票の写し2点か、1点と6か月以内の公共料金領収書などを送り、転送不要郵便で到達を確かめる(5号)
  • 住民票の写しなどの原本を送り、本人名義口座に振り込む(6号)
  • 店のソフトで容貌と写真付き身分証を撮って送る(8号)、容貌とICチップの情報を送る(9号)
  • マイナンバーカードの電子証明書で電子署名する(11号)

8号・9号では撮っておいた画像は送れず、8号では身分証の厚みが分かる斜めからの撮影なども要ります。一度確認した相手は、IDとパスワードなどで識別できれば、2回目以降の確認を省略できます(13号)。どの方法かは、申込みの前に店の案内で確かめておこう。

家族の物、18歳未満、200万円超の貴金属は別の決まり

家族の物を代わりに売る

親や配偶者の物を代わりに売る場合の規定は、古物営業法・施行規則・警察庁の解釈運用基準のどこにも見つかりませんでした(2026年9月9日確認)。15条が求めるのは「取引の相手方」、つまり実際に売る人の確認です。委任状や所有者の身分証を求めるかどうかは店ごとの基準なので、先に店に聞こう。

18歳未満が売る

古物営業法と施行規則には、18歳未満からの買取を制限する規定がありません。編集部が確認できた制限は、都道府県の青少年条例です。

東京都の青少年の健全な育成に関する条例は、古物商が青少年(18歳未満、2条1号)から古物を買い受けることを禁止し(15条2項)、保護者の委託・同行・同意がある場合を除いています(15条3項)。違反は30万円以下の罰金です(26条)。東京都以外の条例は確認していないので、同意書の要否は住んでいる都道府県の条例と店の基準で決まります。子どもが売るなら、親が同行するか、同意の示し方を店に聞こう。

200万円を超える貴金属

金・白金・銀やダイヤモンド・真珠などを扱う事業者は、犯罪収益移転防止法の「宝石・貴金属等取扱事業者」です(犯収法2条2項43号)。代金200万円を超える売買契約では、公的証明書による氏名・住居・生年月日に加え、取引の目的と職業も確認されます(同法施行令7条1項6号、犯収法4条1項)。

支払いが現金以外なら対象外で(同法施行規則4条1項11号)、警察庁JAFICと経済産業省も、現金で200万円を超える取引が対象だと説明しています。旅券が使えるなど、書類の扱いも古物営業法と異なります。貴金属を現金で売るなら、目的と職業を聞かれる前提で行こう。

この記事の結論

買取店で本人確認書類を求められるのはなぜですか

店の決まりではなく、古物営業法15条の義務です。代金1万円未満なら原則いりませんが、ゲームソフト・CD・書籍などは金額に関係なく要ります。売る物にこれらが入るなら、身分証を持って行こう。

気になったら

ピアノがいくらになるか、無料で査定だけ頼めます

査定だけ頼んで売らなくてもかまいません。多くの店が査定料とキャンセル料を無料と書いています。頼む前に、型番・製造番号・搬出経路の3つを控えておくと、回答の幅が狭まります。

よくある質問

査定だけしてもらって、売らずに帰る場合でも免許証は見せないといけませんか

古物営業法15条1項の確認義務は「買い受けようとするとき」が要件です。査定だけの段階で不要と明言した公的資料は、2026年9月9日の時点で見つかりませんでした。査定だけのときに書類が要るかは、頼む前に店に聞いてみよう。

免許証の住所が引っ越し前のままでも買い取ってもらえますか

宅配買取(非対面)では、身分証の住所と現住所が違う場合に公共料金の領収証書を補充的に使えると、警察庁の解釈運用基準(第14の2)に書かれています。送る前に住所が違うことを店に伝えて、その店で使える書類を聞いておこう。

宅配買取で送った免許証のコピーは、どのくらいの期間保管されますか

非対面取引で受け取った写しは帳簿と紐づけて、帳簿と同じ期間(最終記載日から3年間、古物営業法18条1項)保存し、満了したら廃棄してよいと警察庁の解釈運用基準(第14の2)にあります。店頭や出張買取では身分証の提示を受けるのが法定の方法で(施行規則15条1項)、コピーを取ることは古物営業法の要件ではありません。コピーを渡す前に、用途と保管期間を聞いてみよう。

数回に分けて持ち込んで各回1万円未満になった場合、本人確認はどうなりますか

正当な理由なく数回に分けて売ることを希望する相手については、古物商から警察官への申告義務が生じる場合があると警察庁の解釈運用基準(第14の3)にあります。各回の総額が1万円未満なら確認と帳簿記載はその回ごとに免除されますが(古物営業法15条2項1号)、分けて持ち込む理由を聞かれるのはこの基準に沿った対応です。

前にその店で買った物を、同じ店に売るときも身分証は要りますか

要りません。以前その店で買った物を同じ店に売り戻す場合は、確認が免除されています(古物営業法15条2項2号)。その店で買った物かどうかは、店に伝えておこう。

注記

根拠にした資料

確認日
2026年9月9日(この日に各資料の内容を確かめました)
根拠
法令の条文と官公庁のページだけを根拠にしています。民間サイトの説明は使っていません。
資料
e-Gov 法令検索(デジタル庁) 古物営業法(昭和24年法律第108号)第1条・第2条・第11条・第14条・第15条・第16条・第18条・第33条
e-Gov 法令検索(デジタル庁) 古物営業法施行規則(平成7年国家公安委員会規則第10号)第15条・第16条・第17条
e-Gov 法令検索(デジタル庁) 犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)第2条第2項第43号・第4条第1項
e-Gov 法令検索(デジタル庁) 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令(平成20年政令第20号)第7条第1項第6号
e-Gov 法令検索(デジタル庁) 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(平成20年内閣府・総務省・法務省・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省令第1号)第4条第1項第11号
警察庁生活安全局 古物営業法等の解釈運用基準について(通達)令和6年8月14日 警察庁丙生企発第272号(第5の3 行商、第14 確認等及び申告)
警視庁 非対面取引における確認の方法(2026-02-12更新)
警視庁 古物営業法施行規則の一部改正について(令和7年10月1日施行)
愛知県警察 古物営業法施行規則の一部改正について(令和7年10月1日施行)
愛知県警察 古物営業法の解説(2025-12-15更新)
警察庁 JAFIC(犯罪収益移転防止対策室) 犯罪収益移転防止法の概要(令和8年8月7日時点)
経済産業省 宝石・貴金属等取扱事業者に課される法令上の義務「取引時確認(法第4条)」(2024-07-04更新)
東京都(東京都例規集) 東京都青少年の健全な育成に関する条例 第2条・第15条・第26条

法令の条文と官公庁のページを編集部が確認して書きました。個別の事情に関わる判断は、消費生活センター・警察・税務署・税理士に確認してください。 最終更新 2026年10月8日 / 数値確認 2026年9月9日 / 編集方針 / 誤りの指摘