買取全般 / 制度

買取で受け取ったお金に税金はかかる?

萬見編集部 /公開 2026年9月9日 /更新 2026年10月8日 /確認 2026年9月9日

生活に通常必要な家財を売ったお金は非課税で、申告も要らない

実家の片付けで、家具や服、食器を買取店に売った。 受け取ったお金を、確定申告しないといけないのかが気になっている。

売った物所得税根拠
家具・じゅう器・衣服など、生活に使っていた物かからない。申告も要らない所得税法9条1項9号
1個または1組30万円超の貴金属・宝石・書画・骨とう課税の対象(総合課税の譲渡所得)所得税法施行令25条
ピアノ公的資料に明記が無い条文・No.3105に楽器の語なし
営利目的で繰り返し売る物事業所得か雑所得所得税法33条2項1号

所得税法・施行令と、国税庁 No.3105 から作成。

条文の要件に、売り先は入っていない

家具・じゅう器・衣服など、本人や配偶者・親族が生活に使う動産のうち、生活に通常必要なものを売って得た所得には、所得税がかかりません(所得税法9条1項9号、所得税法施行令25条、No.3105)。非課税なので、そのお金だけを理由に確定申告をする必要もありません。

No.1906 と確定申告書等作成コーナーの相談事例も、ネットオークションやフリマアプリで生活に使っていた古着や家財を売った所得は非課税で、確定申告は不要と答えています。ただし作成コーナーは、具体的な取引では異なる課税関係が生じ得る、と断っています。

正直に言うと、買取店に売った場合を分けて書いた国税庁の資料は、今回読んだ範囲にはありませんでした。ただ、所得税法9条1項9号が要件にしているのは、生活に使っていた政令で定める資産かどうかで、売り先は含まれていません。条文が見ているのは、どこに売ったかではなく、何を売ったかです。

損をして売っても、還付申告はできない

買った値段より安く売って損が出ても、所得税法はその損失を無かったものとみなします(所得税法9条2項1号、No.1906)。給与など他の所得から引くことはできず、「損をして売ったから還付申告ができる」という説明は条文と合いません。

アドバイス

売る前に、貴金属・書画・骨とうとピアノを分けておこう

家具や服を売ったお金だけのために、申告をすることはない。扱いが変わりうるのは、1個または1組で30万円を超えそうな貴金属・書画・骨とうと、ピアノだ。買取店に出す前に、この2つをほかの家財と分けておこう。

買取で受け取ったお金の所得税の判定の流れ。ピアノが②の分岐のどちらに入るかは、公的資料に明記がない
買取で受け取ったお金の所得税の判定の流れ。ピアノが②の分岐のどちらに入るかは、公的資料に明記がない

非課税から外れるのは、30万円を超える貴金属・書画・骨とうだけ

非課税から外れるのは、1個または1組の価額が30万円を超える、貴石・半貴石・貴金属・真珠とそれらの製品、べっこう・さんご・こはく・ぞうげ・七宝の製品、それに書画・こっとう・美術工芸品です(所得税法施行令25条1項1号・2号)。No.3105 はこれを、30万円超の貴金属・宝石・書画・骨とうと要約しています。

30万円は、列挙された品目だけの線

条文を並べてみて気づいたのは、この30万円が「すべての家財に当てはまる基準」ではないことです。除外の列挙に、楽器・家具・家電は入っていません。

施行令25条と国税庁のページの「価額」が、買ったときの値段なのか売ったときの値段なのかは、どちらにも明示がありませんでした。30万円に近い宝飾品や骨とうは、買ったときの値段と買取の査定額の両方を控えておこう。

損が出ても、ほかの所得と通算できない

この列挙品目は、所得税法施行令178条1項の「生活に通常必要でない資産」にも含まれます(No.2250)。売って損が出ても、原則として給与など他の所得と通算できません(所得税法69条2項)。確定申告書等作成コーナーも同じ案内です。損が出ても税金は原則として戻らないものとして、売るかどうかを決めよう。

ピアノが非課税の動産に当たるか、公的資料は答えていない

ピアノを「非課税」と書いた公的な資料は見つかっていません。所得税法9条1項9号、施行令25条、No.3105 と順に読みましたが、楽器の語は出てきませんでした。所得税基本通達の第9条関係のうち編集部が読んだページにも、楽器を挙げた項目は見当たりませんでした。

税務大学校の税大ジャーナル10号と35号にも「ピアノ」「楽器」の語はありませんでした。35号の講演録は生活用動産の転売益の非課税に問題提起していますが、講演者個人の見解です。

非課税に当たらなければ、原則は譲渡所得

非課税から外す列挙に、楽器は無い。その一方で、所得税基本通達33-1は譲渡所得の対象を、棚卸資産等と金銭債権を除く一切の資産としていて、ピアノも非課税規定に当たらなければ、原則として譲渡所得の対象になります。

施行令178条1項2号は、主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する資産を生活に通常必要でない資産に含めていて、ピアノがここに入るかどうかも、公的資料は答えていません。ピアノ教室など事業に使っていたピアノを売った場合の所得区分も、国税庁の具体例は見つかっていません。

ここは編集部で断定できません。ピアノを売ったお金の扱いは、税務署または税理士に確認してください。聞くときは、いつ・いくらで買ったかと、教室など仕事に使っていたかを伝えよう。

課税になる場合でも、50万円の特別控除を引いた残りが対象

30万円超の貴金属等や、生活用動産に当たらない資産を売った所得は、総合課税の譲渡所得になります(所得税法22条2項、No.3105・No.3152)。土地・建物・株式等の譲渡と違い、給与など他の所得と合算して課税されます。

50万円は、買取額の線ではない

譲渡価額から取得費と譲渡費用を引き、そこから特別控除を引いたものが譲渡所得です(所得税法33条3項)。特別控除は50万円で、譲渡益が50万円に満たないときはその額までです(同法33条4項)。

読んでいて一番誤解されやすいと感じたのが、この50万円です。買取額が50万円を超えると税金がかかる、という読み方は条文と合いません。

取得日から5年を超えて持っていた資産の譲渡益は長期に区分され、2分の1だけが総所得金額に入ります(同法33条3項2号、22条2項2号)。取得費と所有期間で結論が変わるので、この記事では計算例を作りません。

アドバイス

買取額より先に、買ったときの値段と日付を探そう

課税されるのは買取額ではなく、取得費と費用を引いた譲渡益だ。5年を超えて持っていたかでも額が変わる。課税になりそうな物ほど、いつ・いくらで買ったかが分かる領収書や保証書を、売る前に探しておこう。

「20万円以下なら申告不要」は、売った金額ではなく所得で見る

会社員の「20万円以下なら申告不要」は、売却代金ではなく所得(利益)で判定します。給与を1か所から受け、年末調整が済んでいる人は、給与・退職所得以外の各種所得金額の合計が20万円以下なら所得税の確定申告をしなくてよい、と定められています(所得税法121条1項1号、No.1900)。

ここで言う所得は、売却代金から取得費などを引いた後の金額です。給与収入が2,000万円を超える人や、医療費控除などで還付申告をする人には、この申告不要の規定は使えません(No.1900・No.1906)。

申告が要る場合の所得税の確定申告期間は、翌年2月16日から3月15日までです(所得税法120条1項、No.2020)。住民税(市区町村への申告)の取扱いは、今回の公的資料では確認していません。課税になる物を売った年は、買取明細を翌年の申告期間まで取っておこう。

繰り返す転売は、非課税も特別控除も使えない

営利を目的として継続的に行う資産の譲渡による所得は譲渡所得から除かれ(所得税法33条2項1号)、実態に応じて事業所得または雑所得になります(No.3105、所得税基本通達35-2)。買ってきて売ることを営利目的で繰り返す、いわゆる転売がここに入ります。この場合は生活用動産の非課税も、譲渡所得の50万円の特別控除も使えません。

「何を売ったか」より「どう売っているか」で区分が変わります。事業所得と雑所得のどちらになるかは、社会通念上事業と言える程度の活動かどうかで判定します(所得税基本通達35-2注)。仕入れて売っている物があるなら、その買値と売値は、家の物と分けて記録しておこう。

この記事の結論

買取店に売って受け取ったお金に、税金はかかりますか

生活に使っていた家具や衣類を売ったお金に、所得税はかかりません(所得税法9条1項9号)。外れるのは、1個または1組30万円を超える貴金属・書画・骨とうです。売る前に、この3つをほかの家財と分けておこう。

気になったら

ピアノがいくらになるか、無料で査定だけ頼めます

査定だけ頼んで売らなくてもかまいません。多くの店が査定料とキャンセル料を無料と書いています。頼む前に、型番・製造番号・搬出経路の3つを控えておくと、回答の幅が狭まります。

よくある質問

親が買ったピアノを、子が実家の片付けで売ります。取得費はどう考えますか

親から相続したピアノなら、子が引き続き所有していたものとみなすので、取得費も取得日も親のものを引き継ぎます(所得税法60条1項)。取得費そのものは、購入代金に設備費・改良費を加え、使用や時間の経過による減価分を引いた額です(所得税法38条1項・2項)。課税になるかどうかと譲渡所得の額は取得費で変わるので、親がいつ・いくらで買ったかの記録を先に探しておこう。

楽器や家財を何点も一度に売って、合計が30万円を超えたら課税されますか

所得税法施行令25条1項の30万円は「1個または1組の価額」で判定すると書かれています。複数点を一度に売ったときの数え方や、セット物を1組と数える基準についての公的な説明は、今回見つかりませんでした。

金やプラチナを売ると、税務署に知られますか

金・白金の地金と金貨・白金貨を業者に売る人は、原則として氏名・住所・マイナンバーなどを業者に告知する義務があり(所得税法224条の6)、業者は「金地金等の譲渡の対価の支払調書」を支払確定日の翌月末日までに税務署へ出します(国税庁 F1-42)。対象は地金と金貨・白金貨だけで、宝飾品やピアノなど一般の家財は対象外です。告知義務の対象から外れる金額は政令に委ねられていて、その金額は今回の資料では確認していません。

金の延べ板を売ったお金にも、税金はかかりますか

国税庁 No.3161 は、金地金を売った利益を、原則として給与などと合算する総合課税の譲渡所得としています。営利を目的として継続して売っている場合は、実態に応じて事業所得か雑所得です。利益は売った額から取得費と譲渡費用を引いて出すので、買ったときの明細を先に探しておこう。

年金暮らしの親が、実家の骨とうを売りました。確定申告は要りますか

公的年金等の収入金額が400万円以下で、その年金から所得税が源泉徴収されている人は、年金以外の所得金額が20万円以下なら、所得税の確定申告書を出さなくてよいと定められています(所得税法121条3項)。会社員の場合と同じく、見るのは売った金額ではなく、取得費などを引いた後の所得です。年金の源泉徴収票で、その年の収入金額を確かめておこう。

注記

根拠にした資料

確認日
2026年9月9日(この日に各資料の内容を確かめました)
根拠
法令の条文と官公庁のページだけを根拠にしています。民間サイトの説明は使っていません。
資料
国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
国税庁 No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)
国税庁 No.3161 金地金の譲渡による所得
国税庁 No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合
国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
国税庁 No.2020 確定申告
国税庁 No.2250 損益通算
国税庁 確定申告書等作成コーナー 総合課税の譲渡所得とは
国税庁 確定申告書等作成コーナー 生活に通常必要でない資産を譲渡したとき
国税庁 確定申告書等作成コーナー ネットオークションやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引による収入がある場合
e-Gov法令検索(デジタル庁) 所得税法(昭和40年法律第33号)(条文は API v2・令和8年8月12日施行版で確認)
e-Gov法令検索(デジタル庁) 所得税法施行令(昭和40年政令第96号)(条文は API v2・令和8年5月22日施行版で確認)
国税庁 所得税基本通達 法第9条《非課税所得》関係〔強制換価等による譲渡(第10号関係)〕(9-12の3ほか)
国税庁 所得税基本通達 法第33条《譲渡所得》関係(33-1ほか)
国税庁 所得税基本通達 法第35条《雑所得》関係(35-2ほか)
国税庁 F1-42 金地金等の譲渡の対価の支払調書(同合計表)
国税庁 税務大学校 税大ジャーナル35号 講演録 生活用動産の譲渡益や学資貸与の債務免除益に所得税は課されるか(PDF)
国税庁 税務大学校 税大ジャーナル10号 論説 生活用資産を巡る所得税法上の諸問題(PDF)

法令の条文と国税庁の資料を編集部が確認して書きました。計算例は作っていません。 最終更新 2026年10月8日 / 数値確認 2026年9月9日 / 編集方針 / 誤りの指摘