買取全般

買取で法律が決めていることは?出張・本人確認・税金

萬見編集部 /公開 2026年9月9日 /更新 2026年10月8日 /確認 2026年9月11日

売る前から翌年の申告まで、法律で決まっていること

使わなくなった物を、買取店に売ろうとしている。 家に業者を呼んで大丈夫か、売ったあとに手続きが要るのかが気になる。

場面決まっていること根拠
店を選ぶ公安委員会の許可が要る古物営業法3条
業者が来た日「査定だけ」なら勧誘できない特定商取引法58条の6
売るとき店に本人確認の義務がある古物営業法15条
出張買取の契約後書面を受け取った日から8日間は取り消せる特定商取引法58条の14
翌年の申告生活に使っていた家財を売った所得は非課税所得税法9条1項9号

条文から編集部が作成した。

店を選ぶ前から翌年の申告まで。段階ごとに効く法律が違う
店を選ぶ前から翌年の申告まで。段階ごとに効く法律が違う

まずは店選びと、契約後の8日間を押さえよう。

店を選ぶ段階で、許可の有無は自分で確かめられる

中古品を買い取る営業には都道府県公安委員会の許可が要り(古物営業法3条)、許可を出すのは警察署ではなく公安委員会です。確かめる場所は、店の標識・サイトの表示・公安委員会のURL届出一覧の3つです(同法12条・8条の2)。

店頭の標識

古物商は、営業所ごとに見やすい場所へ定められた様式の標識を掲げる義務があり(同法12条1項)、掲げなければ100,000円以下の罰金の対象です(同法35条2号)。様式は縦8cm×横16cm、紺色地に白文字で、上段に許可証の番号、中段に「道具商」などの取扱区分、下段に古物商の氏名または名称が入ります(同法施行規則11条・別記様式第13号。寸法と色は警視庁の解説による)。上段の番号と下段の名称を控えておこう。

店頭の標識。上段の番号と下段の名称を控える
店頭の標識。上段の番号と下段の名称を控える

サイトと、公安委員会の一覧

2024年4月1日施行の現行12条2項では、「氏名または名称」「許可をした公安委員会の名称」「許可証の番号」の3点を自社サイトに掲載しなければなりません。ただし、常時使用する従業者が5人以下の店と、自社サイトを持たない店は免除され(同法施行規則13条の2)、URLを届け出てネットで買取の申込みを受ける業者は、5人以下でも免除されません(同法12条2項・3項)。

公安委員会の「古物商URL届出一覧」に載るのも、URLを届け出た業者だけです(同法8条の2第1項)。実店舗だけの業者は載らないので、番号が見つからないだけでは、無許可とは言えません。電話か店頭で「どこの公安委員会の、何番の許可ですか」と聞いてみよう。照合は古物商許可の確認のしかたへ。

業者が家に来た日、査定だけなら勧誘は受けなくてよい

「査定だけ」を頼んだ場合、業者が査定を超えて買取契約を勧誘することは特定商取引法58条の6第1項に抵触すると、消費者庁のガイドが明記しています。「査定だけ」の依頼は「勧誘の要請」に当たらない、というのが理由です。頼んでいないのに自宅へ来て勧誘する飛び込みも、同じ条文で禁止されています。

頼んだ品物以外への勧誘も禁止です。食器の買取について話を聞きたいと頼んで来てもらった業者が、その場で指輪の話を始めることは同項に反します(勧誘の前に示した物品の種類が食器だけなら、58条の5と58条の6第2項にも反します)。国民生活センターは、皿の買取のはずが貴金属を買い取られたという相談事例を公表しています。

アドバイス

呼ぶ電話では、品物と「査定だけ」を伝えよう

「食器の査定だけお願いします」のように、品物と査定だけであることを言葉にしておこう。ほかの品物の話が始まったら、「それは頼んでいません」と断ればいい。

担当者には許可証を見せてもらう

出張買取は古物営業法上の「行商」で、担当者は求められれば許可証または行商従業者証を提示しなければなりません(古物営業法11条3項)。買い取ってよい場所も、届出をした仮設店舗を除けば、営業所か相手方の住所・居所に限られています(同法14条1項)。玄関で「許可証を見せてください」と頼もう。ピアノの出張査定でも同じです(ピアノの買取相場)。

訪問購入の相談は、2025年度に7,523件でした(国民生活センター)。手口と条文の対応は出張買取は危ない?トラブルを避ける決まりに、電話の断り方は買取の電話がしつこいときはどうする?にまとめています。

本人確認を求められるのは、店の方針ではなく法律の義務

買い取るときに相手が本人かを確かめることは、古物営業法15条1項が古物商に課した義務で、店ごとの方針ではありません。対面で確かめるのは住所・氏名・職業・年齢の4項目で、職業まで聞かれるのはこのためです。

方法としては、運転免許証やマイナンバーカードのように、住所・氏名・生年月日を証明でき、1人に1通しか発行されない資料の提示を受けるものなどが定められています(同法15条1項・同法施行規則15条1項)。警察庁の解釈運用基準を読んでいて意外だったのはパスポートで、所持人が住所を自由に書けるため「住所を証する資料」に当たらないと明示されています。売りに行く日は、運転免許証かマイナンバーカードを持って行こう。

対価の総額が1万円未満なら確認は免除されますが(古物営業法15条2項1号・同法施行規則16条1項)、10,000円ちょうどは対象です。何を見せればよいかは本人確認で何を見せるかに書きました。

出張買取なら、8日間は取り消せる

出張買取(訪問購入)の契約は、法定の書面を受け取った日を1日目として8日間、クーリング・オフができます(特定商取引法58条の14第1項)。店頭に持ち込む買取は訪問購入に当たらず、この規定は及びません。

起算日は契約日ではなく書面の受領日です。4月1日に受け取ったなら4月8日まで通知でき、9日からはできません。書面が渡されない、またはクーリング・オフに関する記載が欠けた書面しか無い場合は、起算日が来ないので期間は進行しません。

通知は書面または電磁的記録(電子メール、業者サイトの専用フォームなど)で行い、発した時点で効力が生じます(同条1項・2項)。口頭だけでは法定のクーリング・オフになりません。詳しくは出張買取はクーリング・オフできる?8日間の決まりとクーリング・オフの書き方に。

アドバイス

書面を受け取った日に、期限を書き込もう

受け取ったその日に、8日間の最後の日をカレンダーに書いておこう。取り消すなら電話で済ませず、はがきかメールで出して記録を残そう。

自動車(二輪を除く)、携行が容易なものを除く家庭用電気機械器具、家具、書籍、有価証券、CD・DVDなどの記録媒体は、訪問購入の規制から外れます(同法58条の4、施行令34条)。編集部が一番知りたかったピアノの扱い(この「家具」に当たるかどうか)は、消費者庁の逐条解説・通達・物品の具体例のどれにも記載が無く、確認できませんでした。ピアノは8日間を当てにせず、金額に納得してから署名しよう。

8日間は、品物を渡さなくてよい

期間内は、引渡し日の取り決めがあっても品物を渡さなくてよく、拒んでも債務不履行になりません(同法58条の15)。「渡さないと損害賠償になる」と告げることは不実告知に当たります(同法58条の10第1項6号)。迷っているなら、品物は手元に置いておこう。

生活に使っていた家財を売ったなら、申告は要らない

生活に使っていた家具・じゅう器・衣服などを売って得た所得には、所得税がかかりません(所得税法9条1項9号)。国税庁のタックスアンサーNo.3105も、家具・じゅう器・通勤用の自動車・衣服などの生活用動産の譲渡所得は非課税と明記しています。

No.1906と確定申告書等作成コーナーも、ネットオークションやフリマアプリで生活に使っていた古着・家財を売った事例で、確定申告は不要としています。同じページは、生活に使っていない衣服・雑貨・家電などを売った所得は雑所得に当たるとも書いています。買った値段より安く売って損が出ても、その損失は無かったものとみなされ、給与など他の所得から差し引けません(同法9条2項1号)。

例外は、1個または1組の価額が30万円を超える、貴石・半貴石・貴金属・真珠とそれらの製品、べっこう・さんご・こはく・ぞうげ・七宝の製品、書画・こっとう・美術工芸品です(所得税法施行令25条)。「30万円を超えたら課税」はこの列挙品目に限った話で、楽器・家電・家具は列挙に含まれていません。一方で、楽器が「生活に通常必要な動産」に当たると明記した法令や国税庁のページも見つかりませんでした。

課税対象になる場合は、給与などと合算する総合課税です(所得税法22条2項)。特別控除の50万円は買取額の基準ではなく、譲渡益から引く控除額です(同法33条4項)。判断に迷う場合は税務署または税理士に確認してください。

親の家を片づけるときと、宅配で送るときは条件が変わる

遺品整理では、買い取る許可と家庭ごみを運び出す許可は別のものです。前者は古物商の許可(古物営業法3条)、後者は一般廃棄物処理業の許可なので、1社に両方を頼むなら両方を持っているかを確かめよう。呼び方によってクーリング・オフが外れる条件もあるため、遺品整理で買い取ってもらうには?手順と注意で分けて扱いました。

品物を送る宅配買取には訪問購入の規定が及ばず、効いてくるのは各社の規約です。12社の公式サイトを調べたところ、買取をキャンセルして品物を返してもらうときの返送料は、無料と明記していたのが4社、お客様負担が5社、条件つきが3社でした(宅配買取の返送料は誰が払う?)。「送料無料」は行きの片道を指すことがあります。申し込む前に、返送料の欄を読んでおこう。

訪問の日に控えておけば、あとで効く記録は5つ

8日間の起算日と勧誘の範囲は、この記録が無いとあとで示せません。業者が帰る前にメモしておこう。

  • 許可証の番号と、許可をした公安委員会の名称(許可証またはサイトの表示から控える)
  • 業者名と担当者名
  • 書面を受け取った日(クーリング・オフの8日間は、この日が1日目)
  • クーリング・オフの通知先(業者の住所。書面にメールアドレスやフォームが書かれていればそれも)
  • 勧誘の前に示された品物の種類(頼んだ品物以外の勧誘は禁止)
この記事の結論

買取店に売るとき、法律で何が決まっていますか

出張買取は、書面を受け取った日から8日間なら取り消せます(特定商取引法58条の14)。受け取った日を控えておこう。店には公安委員会の許可と本人確認の義務があり、生活に使っていた家財を売ったお金は非課税です。

気になったら

ピアノがいくらになるか、無料で査定だけ頼めます

査定だけ頼んで売らなくてもかまいません。多くの店が査定料とキャンセル料を無料と書いています。頼む前に、型番・製造番号・搬出経路の3つを控えておくと、回答の幅が狭まります。

よくある質問

電話で買取を勧められました。これも禁止ですか

特定商取引法58条の6第1項が禁止するのは、自宅など営業所等以外の場所での勧誘です。電話での勧誘やダイレクトメールの送付そのものは、この条文では禁止されていません。ただし、業者側から電話をかけて「訪問して勧誘してよいか」と尋ね、取り付けた同意は「勧誘の要請」に当たらないと、消費者庁の逐条解説は説明しています。

宅配買取で運転免許証のコピーを送るよう言われました。それで足りますか

コピーの送付だけでは、古物営業法が非対面取引に求める確認になりません。方法の一つが施行規則15条3項7号で、身分証の写しを受け取り、その住所へ転送不要の書留などを送って到達を確かめ、身分証と同じ名義の口座へ代金を振り込む、の3点をすべて満たします。家族名義の口座ではこの要件を満たせないので、振込先は身分証と同じ名義の口座にしよう。

1万円未満なら本人確認は無いと聞きました。例外はありますか

あります。古物営業法施行規則16条2項が、1万円未満でも確認が必要な品目を7種類挙げています。自動二輪車・原動機付自転車とその部分品、エアコンの室外ユニットと電気温水機器のヒートポンプ、家庭用ゲームソフト、CD・DVDなどの光学記録媒体、電線、金属製グレーチング、書籍の7種類です。

クーリング・オフの期間内に、自分から品物を渡してもよいですか

渡せます。特定商取引法58条の15の引渡し拒絶権は、消費者が自分の意思で期間内に渡すことまで禁じるものではありません。ただし引渡しを拒んでいる間は、特約が無ければ業者側も代金の支払いを拒めると、消費者庁の逐条解説は説明しています。

売るときに見せた身分証の情報は、店にどれくらい残りますか

買取店は、取引の年月日・品目・特徴と、売った人の住所・氏名・職業・年齢を帳簿等に記録し(古物営業法16条)、3年間保存する義務があります(18条1項、紙の帳簿は最終の記載をした日から数える)。本人確認が免除される取引(15条2項)では、この記録も求められていません(16条ただし書)。売った日・店名・品物は、自分でも控えておこう。

注記

法令の条文と官公庁のページを編集部が確認して書きました。根拠にした条文と資料は、記事下部の「根拠にした資料」欄に確認日つきで載せています。 最終更新 2026年10月8日 / 数値確認 2026年9月11日 / 編集方針 / 誤りの指摘