買取全般 / 制度
買取店と質屋は何が違う?戻せるか・利息・許可
萬見編集部 /公開 2026年9月12日 /更新 2026年10月9日 /確認 2026年9月11日
買取は所有権が移り、質は預けるだけ
急にお金が要る。手元のブランドバッグを売るか、質に入れるかで迷っている。 戻ってくるかどうかと、かかるお金を先に比べておきます。
| 比べること | 買取 | 質 |
|---|---|---|
| 品物 | 店の物になる | 預けるだけ |
| 取り戻せるか | 店頭の買取では、戻す仕組みが無い | 流質期限の前に元利金を払えば戻る(17条)。過ぎたら質屋の物(18条) |
| 受け取るお金 | 代金。返さなくてよい | 借りたお金。利息の上限は年109.5%(36条) |
| 許可を出すところ | 公安委員会(古物営業法3条) | 公安委員会(質屋営業法2条) |
質屋営業法と古物営業法の条文(e-Gov)を、編集部が読んで作りました。条番号は、断りが無ければ質屋営業法です。
買取は、物を売って代金を受け取り、所有権を店に移す取引です。質は、物を預けてお金を借り、流質期限までに元金と利息を返せば物が戻る取引です。質屋営業法は、物品を質に取り、流質期限までに弁済を受けないときは「当該質物をもつてその弁済に充てる約款を附して、金銭を貸し付ける営業」を質屋営業と定めています(1条1項)。買取は「売る」、質は「借りる」です。
許可は、どちらも公安委員会が出す
買取店は古物営業法の古物商の許可(3条)、質屋は質屋営業法の許可(2条1項)が要ります。質屋の許可は、営業所ごとに、その所在地の公安委員会が出します。
質屋は営業所に標識を掲げ、公式サイトに氏名または名称・許可をした公安委員会・許可証の番号を載せる決まりです(質屋営業法10条)。サイトに番号を載せる決まりは、買取店にもあります(古物営業法12条2項)。番号の確認方法は買取店の古物商許可はどう確かめる?に書いた手順と同じで、質屋の許可番号も公安委員会に照会できます。預ける前に、標識かサイトで番号を控えておこう。
流質期限までは受け戻せる。過ぎたら質屋の物になる
質に入れた物は、流質期限の前ならいつでも、元金と利息を払って受け戻すことができます(質屋営業法17条1項)。受け戻すときは質札を返すか、通帳に受け戻した旨の記入を受けます。
質札は、受け戻す日まで手元に置く
質札は受け戻しに要るので、失くさないように保管します。質屋の側は、相手が受け取る権限のある人だと確認しないと質物を返してはならず(17条2項)、確認して返した場合は正当な返還とみなされます(同3項)。質札は、家の決まった場所にしまっておこう。
期限を過ぎても、処分の前なら戻る余地がある
流質期限を過ぎると、質屋はその質物の所有権を取得します(18条1項)。ただし、質屋が処分するまでの間は、元金・流質期限までの利息・期限経過時に更新したとすれば払う利息に相当する金額を払えば、返すように努める定めがあります(同項ただし書)。期限を過ぎた後も、処分される前なら戻る余地が条文に残っています。流質物は古物市場で売却できます(2項)。
正直に言うと、買取と質の一番の違いはここにあります。店頭の買取で受け取った代金は、店に戻して物を取り返す仕組みが法律にありません。質は、期限までは戻す仕組みが法律にあります。自宅に来てもらった買取の取り消しは、出張買取はクーリング・オフできる?8日間の決まりに書いています。
アドバイス
質札を受け取ったら、その場で流質期限の日付を読もう
戻せるのは流質期限の前までだ。質札を受け取ったら、期限の日付と利率をその場で読み、期限の数日前をカレンダーに入れておこう。過ぎてしまったと気づいたら、すぐ店に電話して、まだ処分していないかを聞いてみよう。処分の前なら、返すよう努める定めがある。
利息の上限は年109.5%。1期30日で、数日でも1期分
質屋の利息には上限があり、年109.5%です(質屋営業法36条1項)。出資法5条2項が一般の貸金業に定める年20%を、質屋については109.5%に読み替えていて、1日あたりは0.3%です。
利息は、月ごとの1期で数える
月の初日から末日までを1期(30日)として計算し、借りた期間が1期に満たないときも1期として数えます。同じ月のうちに数日で受け戻しても、利息は1期分かかる計算です。借りていた期間が2つ以上の月にわたるときは、わたる月の数が期の数になります(36条1項)。
流質期限は、質契約の成立の日から3か月より短くは定められません(16条2項)。実際の期限は質屋ごとに違うので、質札に書かれた日付を読もう。
実際の利率は、質屋ごとに違う
利率の実際は、上限の範囲で質屋ごとに決めています。質札に利率と流質期限が書かれるので、預ける前に読もう。
買取には利息がかかりませんが、品物は店の物になります。短い期間だけお金が必要で、物は手放したくないなら質、手放してよいなら買取、という分かれ方になります。
アドバイス
月末に借りるなら、何期分の利息になるかを先に聞こう
質の利息は、月の初日から末日までを1期として数える。月末に借りて翌月に返すと、数日でも期が増える計算になる。預ける前に、利率と、いつまでに返せば何期分で済むかを店に聞いてみよう。
質に取れるのは、営業所か預ける人の家だけ
質屋は、営業所または質置主の住所・居所以外の場所で物品を質に取ってはなりません(質屋営業法11条)。業者が路上や喫茶店で質に取ることはできません。自宅で質に取る場合は認められています。
アドバイス
路上や喫茶店で質に取ると持ちかけられたら、品物を渡さないでおこう
質屋が質に取れるのは、営業所か、預ける人の住所・居所だけだ。駅前や喫茶店で預かると言う相手は、質屋営業法の枠の外にいる。品物は渡さず、店か自宅で取引しよう。
預けた物が失われたとき
預けた質物が災害や盗難で失われたときは、質屋は遅滞なく質置主に通知します(19条1項)。質屋と質置主のどちらにも責任が無い事由で質屋が質物を失った場合、質屋は貸したお金を請求する権利を失います(2項)。
質屋の責任で失われた場合の損害賠償を、あらかじめ放棄させる契約はできません(19条3項)。買取では所有権が店に移った後の話なので、この定めに相当するものはありません。預ける前の書面にそうした一文があれば、署名する前に店に聞いてみよう。
盗品の扱いは、買取店と質屋で同じ1年・無償
盗まれた物や落とした物が質屋にあった場合、被害者や遺失主は、盗難または遺失の時から1年以内なら無償で回復を求めることができます(質屋営業法22条)。質屋が同種の物を扱う業者から善意で質に取っていても同じです。買取店(古物商)についての古物営業法20条と、1年の期限も無償の点も同じ定めです。
家族の物や人から預かった物を質に入れる前に、持ち主に確かめよう。盗品を見つけたときの手順は、買った物・売った物が盗品だったらどうなる?に書いています。
質に入れる前・買取に出す前に、確かめること
- 手放してよいなら買取、期限までに戻したいなら質。質は利息が1期(30日)単位でかかる
- 質札の流質期限と利率を読む。上限は年109.5%(1日0.3%)
- 質屋・買取店とも、公安委員会の許可番号を控え、一覧と照合する
- 質は営業所か自宅でしか取れない。路上や喫茶店のような場所で質を持ちかける相手は、質屋営業法の枠の外
- 自分の物でない物を質に入れない。盗品は1年以内なら無償で持ち主に戻る(質屋営業法22条)
買取店と質屋は何が違いますか
買取は手放す取引、質は預けてお金を借りる取引です。質なら期限までに元利金を払えば戻ります(質屋営業法17条)。利息の上限は年109.5%で、数日でも1か月分かかります。手放したくない物なら、質札の期限を確かめて預けよう。
気になったら
ピアノがいくらになるか、無料で査定だけ頼めます
査定だけ頼んで売らなくてもかまいません。多くの店が査定料とキャンセル料を無料と書いています。頼む前に、型番・製造番号・搬出経路の3つを控えておくと、回答の幅が狭まります。
よくある質問
質に入れた物は、いつまで受け戻せますか
流質期限の前なら、いつでも元金と利息を払って受け戻せます(質屋営業法17条1項)。流質期限は質契約で定められ、質札や通帳に書かれています。期限を過ぎると質屋が所有権を取得しますが、処分するまでの間は元利金相当額を払えば返すよう努める定めがあります(18条1項ただし書)。
流質期限は、何か月くらいですか
流質期限を、質契約の成立の日から3か月より短く定めることはできません(質屋営業法16条2項、商売で扱っている品物を営業者が預ける場合は1か月)。実際の期限は質屋ごとに決めていて、利率・利息の計算の方法と一緒に営業所内の見やすい場所に掲示されています(同条1項)。掲示より不利な質契約はできないので(3項)、預ける前に、掲示と質札の期限が同じかを見ておこう。
質屋の利息はどのくらいですか
上限は年109.5%で、1日あたり0.3%です(質屋営業法36条)。利息は月の初日から末日までを1期(30日)として計算し、借りた期間が1期に満たなくても1期分として計算します。実際の利率は上限の範囲で質屋ごとに決めているので、預ける前に質札で確かめよう。
質屋に家まで来てもらうことはできますか
質屋が質に取れるのは、営業所か、質置主の住所・居所に限られます(質屋営業法11条)。自宅で質に取ってもらうことはできますが、路上や喫茶店のような場所ではできません。
預けた物が質屋で盗まれたり壊れたりしたらどうなりますか
質屋は遅滞なく質置主に通知しなければなりません(質屋営業法19条1項)。質屋と質置主のどちらの責任でもない事由で質屋が質物を失ったときは、質屋は貸したお金を請求する権利を失います(2項)。質屋の責任で滅失した場合の損害賠償請求権を、あらかじめ放棄させる契約はできません(3項)。
注記
根拠にした資料
- 確認日
- 2026年9月11日(この日に各資料の内容を確かめました)
- 根拠
- 法令の条文と官公庁のページだけを根拠にしています。民間サイトの説明は使っていません。
- 資料
- e-Gov 法令検索 質屋営業法(1条・2条・10条・11条・16条・17条・18条・19条・22条・36条) 令和7年6月1日施行版
e-Gov 法令検索 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(5条)
e-Gov 法令検索 古物営業法(3条・12条・20条) 令和7年6月1日施行版
条文はデジタル庁のe-Gov法令検索で2026年9月11日に確認しました。2026年10月2日に質屋営業法1条・2条・11条・36条を読み直し、定義の引用と、許可・場所・利息の期の数え方の書き方を条文に合わせました。2026年10月9日に16条2項を読み、流質期限の長さの記述を直しました。 最終更新 2026年10月9日 / 数値確認 2026年9月11日 / 編集方針 / 誤りの指摘