買取全般 / 制度
買った物・売った物が盗品だったらどうなる?
萬見編集部 /公開 2026年9月12日 /更新 2026年10月9日 /確認 2026年9月11日
盗まれた物が買取店にあれば、1年以内は無償で戻る
盗まれた時計が、近所のリサイクル店の棚に並んでいた。あるいは、中古で買った物が盗品だと言われた。 取り戻せるのか、お金はかかるのか。場面ごとの答えを先に並べておきます。
| 場面 | どうなるか | 根拠の条文 |
|---|---|---|
| 盗まれた物・落とした物が買取店や質屋にある | 盗難・遺失の時から1年以内なら無償で戻る | 古物営業法20条、質屋営業法22条 |
| 一般の人が持っている | 盗難・遺失の時から2年間、回復を請求できる | 民法193条 |
| 同じ種類の物を売る店や市場で、善意で買った人が持っている | 代価を弁償しないと戻らない | 民法194条 |
| 買取店に売った人 | 住所・氏名などが店の記録に3年残る | 古物営業法16条・18条 |
古物営業法・民法・質屋営業法の条文(e-Gov)を、編集部が読んで作りました。
盗まれた物や落とした物が買取店に持ち込まれていたとき、被害者や遺失主は、古物商に対して無償での返還を求めることができます(古物営業法20条)。古物商がその物を公の市場や同業者から善意で仕入れていた場合でも、無償です。買取店が代金を払って仕入れた物でも、被害者はその代金を弁償せずに返してもらえます。
対象から外れているのは、指図証券・記名式所持人払証券・無記名証券だけです。質屋が質物や流質物として持っている場合も、質屋営業法22条に同じ1年・無償の定めがあります。
1年は、盗まれた時から数える
期限は盗難または遺失の時から1年で、1年を過ぎた後はこの定めが使えなくなります(古物営業法20条ただし書)。買取店に持ち込まれた日や、自分がそれに気づいた日から数えるのではありません。気づいたときに残っている期間は、1年より短いのがふつうです。
アドバイス
盗まれた日を書き出し、1年後の日付をカレンダーに入れよう
1年は、見つけた日ではなく盗まれた日から進んでいる。盗まれた日を書き出し、分からなければ最後に見た日で数えておこう。1年後の日付をカレンダーに入れ、その前に店へ連絡しよう。
見つけたときは、警察への届出が先
自分の物が買取店やフリマの出品にあるのを見つけたら、先に警察へ盗難届か遺失届を出します。古物営業法20条の「被害者又は遺失主」として求める以上、盗難や遺失の事実を示すものが要るからです。
- 警察に盗難届か遺失届を出し、受理番号を控える
- 型番・製造番号・写真など、自分の物だと示せる材料をそろえる
- 受理番号を添えて、買取店に連絡する
1年を過ぎている場合は、民法の定めによることになります。店が応じない場合も含めて、条文の当てはめは事情で変わります。迷ったら、先に警察へ届け出よう。
買取店が古物商の許可を持っているかどうかは、買取店の古物商許可はどう確かめる?の手順で確かめられます。無許可の店には、そもそも古物営業法の記録の義務がかかっていません。連絡する前に、店の許可番号も控えておこう。
買取店以外の人が持っていれば2年
買取店ではなく、一般の人が持っている場合は民法の定めによります。
一般の人には、2年間は回復を請求できる
動産を取引で平穏かつ公然に、善意・無過失で占有し始めた人は、その動産の権利を即時に取得します(民法192条)。ただし盗品や遺失物については例外があり、被害者や遺失主は盗難または遺失の時から2年間、占有している人に回復を請求できます(193条)。
店で買った人には、代価の弁償が要ることがある
その占有者が、競売・公の市場・その物と同種の物を販売する商人から善意で買い受けていた場合は、被害者側が代価を弁償しなければ回復できません(194条)。買取店やリサイクル店で買った人も、その店が同じ種類の物を売っていて、盗品と知らずに買ったのなら、この「商人から買った人」に当たりえます。並べると、古物商に対しては1年・無償、一般の人に対しては2年・場合により代価の弁償という2段構えになっています。
アドバイス
中古品を買ったら、レシートと店名を残しておこう
同じ種類の物を売る店で、盗品と知らずに買った人は、代価の弁償を受けられる立場になりうる(民法194条)。その立場を示すのは、どこで・いつ・いくらで買ったかの記録だ。レシート、店名、許可番号は、品物を使っている間は捨てずに取っておこう。
1年を過ぎた後の買取店は、条文だけでは決まらない
正直に言うと、1年を過ぎたあとに古物商に対してどの定めが使えるかは、条文を読んだだけでは一通りに決まりませんでした。古物営業法20条が使えなくなった後は民法の一般の定めに戻ると考えられますが、194条の代価弁償が要るかどうかは、古物商がどこから仕入れたかで変わります。この点は弁護士に確認してください。
売った側は、取引の記録が3年残る
買取店は、古物を受け取るたびに帳簿または電磁的な記録に、取引の年月日・品目と数量・特徴・相手方の住所・氏名・職業・年齢・本人確認の方法を残さなければなりません(古物営業法16条)。この記録は最終の記載の日から3年間、営業所に備え付けて保存する決まりです(18条1項)。売った人の氏名と住所が、3年間は店に残ります。
代金の総額が1万円未満の取引では記録の義務が原則として免除されますが、書籍・CD・ゲームソフト・バイクの部品など、金額に関係なく本人確認と記録が要る品目があります(施行規則16条2項)。品目の一覧と本人確認の仕組みは買取で本人確認が必要なのはなぜ?に書いています。帳簿を失くしたり壊したりしたときは、店は直ちに警察署長に届け出なければなりません(18条2項)。
売った物が後から盗品だと分かった場合、この記録から売主にたどり着きます。
アドバイス
家族の物や預かり物は、持ち主の同意を取ってから売ろう
自分の物ではない物(家族の物、預かっている物、遺品で持ち主が確定していない物)を売っても、店の記録に残るのは売った自分の名前だ。持ち主の同意を先に取り、そのやり取りをメッセージで残しておこう。それが、記録が残る側としての備えになる。
買う前・売る前に、控えておくこと
- 買う側: 店名・許可番号・購入日・レシートを残す。同じ種類の物を売る商人から善意で買った人は、代価の弁償を受けられる立場になりうる(民法194条)
- 売る側: 自分の物でない物は、持ち主の同意を先に取る。記録に自分の氏名と住所が3年残る(古物営業法16条・18条)
- 盗まれた側: 盗難届の受理番号を控え、盗難の日付から1年の期限を数える(古物営業法20条)
- 型番・製造番号・特徴を書き留めておく。見つけたときに自分の物だと示す材料になる
- 断定できない場面では、警察相談(#9110)か弁護士へ
盗品だった物を買取店で買った、または自分の物が買取店にあったらどうなりますか
盗まれた物が買取店にあれば、盗まれてから1年以内は、お金を払わずに返してもらえます(古物営業法20条)。買取店ではない人が持っている場合は2年で、代金を払う必要が出ることがあります。見つけたら、先に警察へ届け出よう。
気になったら
ピアノがいくらになるか、無料で査定だけ頼めます
査定だけ頼んで売らなくてもかまいません。多くの店が査定料とキャンセル料を無料と書いています。頼む前に、型番・製造番号・搬出経路の3つを控えておくと、回答の幅が狭まります。
よくある質問
盗難から1年を過ぎたら、もう取り戻せませんか
古物営業法20条の「無償で」の定めは、盗難または遺失の時から1年を過ぎると使えなくなります(同条ただし書)。その後は民法の一般の定めによることになり、193条の2年間の回復請求はできても、194条の代価の弁償が必要になる場合があります。個別の事情で結論が変わるので、弁護士に確認してください。
盗まれた物が買取店に売られたら、警察や店は気づいてくれますか
古物商は、買い取る物に不正品の疑いがあると認めたときは、直ちに警察官に申告しなければなりません(古物営業法15条3項)。警察は必要と認めたときに盗品等の品触れを書面で古物商に出し、受けた古物商はその品を持っていたり、6か月の保存期間のうちに受け取ったりしたら、直ちに届け出る決まりです(19条1項〜3項)。盗難届には、型番・製造番号・特徴をできるだけ細かく書いておこう。
買取店やリサイクル店で買った中古品が盗品だったら、取り上げられますか
競売・公の市場・その物と同種の物を販売する商人から善意で買い受けた人に対しては、被害者や遺失主は、払った代価を弁償しなければその物を回復できません(民法194条)。買った店がその品と同じ種類の物を売っている店で、盗品と知らずに買ったのなら、この定めに当たりうる立場です。どこで・いつ・いくらで買ったかを示せるよう、レシートと店名は捨てずに取っておこう。
落とし物が買取店に持ち込まれていた場合も同じですか
同じです。古物営業法20条は「盗品又は遺失物」を並べて書いていて、落とした物も1年以内なら無償で回復を求められます。質屋にある場合も、質屋営業法22条に同じ内容の定めがあります。
家族が勝手に持ち出して売った物は、盗品として取り戻せますか
家族の物の持ち出しが盗難にあたるかは事情によって変わり、公的資料には一律の答えがありません。買取店には相手方の住所・氏名を含む取引の記録が3年残るので(古物営業法16条・18条)、誰が売ったかは店の記録で分かります。警察か弁護士に相談しよう。
注記
根拠にした資料
- 確認日
- 2026年9月11日(この日に各資料の内容を確かめました)
- 根拠
- 法令の条文と官公庁のページだけを根拠にしています。民間サイトの説明は使っていません。
- 資料
- e-Gov 法令検索 古物営業法(15条・16条・18条・19条・20条) 令和7年6月1日施行版
e-Gov 法令検索 古物営業法施行規則(16条・17条・18条) 令和8年8月12日施行版
e-Gov 法令検索 民法(192条・193条・194条) 令和8年6月24日施行版
e-Gov 法令検索 質屋営業法(22条) 令和7年6月1日施行版
条文はデジタル庁のe-Gov法令検索で2026年9月11日に確認しました。1万円未満の取引の記録についての記述は、2026年10月2日に施行規則16条・18条を読み直して直しました。よくある質問で引いた古物営業法15条・19条は、2026年10月の手直しで読み足しました。民法194条の「同種の物を販売する商人」の書き方は、2026年10月9日に条文を読み直して直しました。個別の事案の結論は事情によって変わります。 最終更新 2026年10月9日 / 数値確認 2026年9月11日 / 編集方針 / 誤りの指摘