買取全般 / 制度

出張買取の書面には何が書いてあるべき?

萬見編集部 /公開 2026年9月12日 /更新 2026年10月8日 /確認 2026年9月11日

書面は申込書面と契約書面の2種類あり、渡す時点が決まっている

出張買取の査定が終わり、業者から紙を渡された。 何が書いてあれば正しい書面なのか、8日間はいつから数えるのか。

場面業者が渡す書面条文
自宅で申込みを受けた申込書面を直ちに58条の7第1項
申込みのその場で契約した契約書面を直ちに58条の8第1項
申込みの後で契約した契約書面を遅滞なく58条の8第1項
代金と品物をその場でやり取りした契約書面を直ちに58条の8第2項

特定商取引法の条文から作成。

出張買取(訪問購入)では、業者は2つの時点で書面を渡す義務があります。自宅などで買取の申込みを受けたときは、直ちに申込書面を渡します(特定商取引法58条の7第1項)。契約を結んだときは契約書面で、申込みの後で契約したなら遅滞なく、申込みのその場で契約したなら直ちに渡します(58条の8第1項)。

その場で契約まで結んだ場合は、申込書面は不要で、契約書面だけになります(58条の7第1項ただし書)。その場で代金を払って品物を受け取る現金取引でも、契約書面は「直ちに」渡す決まりです(58条の8第2項)。

品物が手を離れる前に、書面が手元にあるのが法律の想定です。「遅滞なく」の日数は条文に無く、消費者庁の逐条解説は通常3〜4日以内と説明しています。

業者は、相手の承諾を得れば、書面の代わりに電磁的方法で同じ事項を提供できます(58条の7第2項)。承諾していない相手にメールだけ送っても、法定の交付にはなりません。紙で受け取りたいなら、メールでの提供には承諾しないでおこう。

アドバイス

品物を渡す前に、書面を受け取ろう

その場で代金と品物をやり取りするなら、書面も直ちに渡す決まりだ。書面が出てこないまま品物を運び出されそうになったら、先に書面を出してほしいと伝えよう。受け取った日付は、書面の余白か手帳に書いておこう。8日間はその日から数える。

14項目のうち、先に見るのは価格・型式・解除の定め

法律が定める6項目

法律が直接定める記載事項は、次の6つです(58条の7第1項1〜6号)。

  • 物品の種類
  • 購入価格
  • 代金の支払時期と方法
  • 引渡時期と方法
  • クーリング・オフに関する事項
  • 引渡しの拒絶に関する事項

省令が定める8項目

これに主務省令の事項が加わり(7号)、施行規則132条が8つを挙げています。

  • 業者の氏名または名称・住所・電話番号(法人なら代表者の氏名も)
  • 担当者の氏名
  • 申込みまたは契約の年月日
  • 物品名
  • 物品の特徴
  • 商標・製造者名・販売者名または型式
  • 契約の解除に関する定め
  • その他の特約

合わせて14項目で、そのうち型式の欄に型番が入ります。ピアノなら型番と製造番号、時計ならリファレンスとシリアルが、この欄に書かれているかを見ます。書かれていなければ、どの品物の契約かを後から特定できません。担当者の氏名と年月日も、後で連絡するときの手がかりになります。

当日は3つだけ見ればいい

正直に言うと、14項目を当日にすべて読むのは難しいです。先に見るのは、購入価格・型式・契約の解除に関する定めの3つで足ります。残りは受け取った日のうちに確かめれば、8日間の中で間に合います。

アドバイス

その場では、価格・型式・解除の定めの3つを見よう

玄関先で14項目を全部読まなくていい。購入価格が聞いた額と同じか、型式の欄に自分の品物の型番があるか、解除の定めに「キャンセル不可」のような文が無いかを見よう。残りの項目は、その日のうちに読めば間に合う。

書いてはいけないことも決まっている

書面の内容には基準があります(施行規則133条1項)。次の4つは、書面に書けません。

  • 引渡しの拒絶をする人に不利な、価格の定め
  • 契約の相手方からの解除ができない、という定め
  • 業者側の責任で解除された場合の義務を、民法より相手方に不利にする定め
  • 法令に違反する特約

「キャンセル不可」や「8日以内に断ると減額」は、書面に書けない内容です。

赤枠の注意書きと、8ポイント以上の文字

形式にも決まりがあります。書面の内容を十分に読むべき旨を、赤枠の中に赤字で書くこと(133条2項)。文字と数字は日本産業規格の8ポイント以上を使うこと(3項)。赤枠の注意書きが無い書面や、小さな文字で埋めた書面は、この基準を満たしていません。受け取ったら、まず赤枠があるかを探そう。

書いてあっても、そのとおりにはならない

基準に反する記載があっても、その記載のとおりになるわけではありません。「解約不可」と書かれた書面を理由に解除を断る手口は、消費者庁の事例紹介ページに載っていて、逐条解説は指示や業務停止命令の対象になる行為として挙げています。書面にそう書いてあっても、クーリング・オフはあきらめないでおこう。詳しくは出張買取はクーリング・オフできる?8日間の決まりに書いています。

書面が欠けていると、8日間のクーリング・オフは始まらない

クーリング・オフができる期間は、契約書面(それより前に申込書面を受け取っていればその書面)を受け取った日から起算して8日間です(58条の14第1項)。書面が無い場合や、クーリング・オフに関する事項などの記載が欠けた書面しか無い場合は、起算日が来ないので8日間は進行しません。逐条解説がそう説明しています。

書面の不備は、期間が短くなる方向ではなく、始まらない方向に働きます。通知は書面またはメールなどの電磁的記録で行い、発した時点で効力が生じます(58条の14第2項)。

アドバイス

「もう8日過ぎた」と言われたら、書面を見直そう

手元の書面に14項目と赤枠の注意書きがあるかを確かめよう。欠けていれば、8日間はまだ数え始まっていない可能性がある。取り消すと決めたら、書面かメールで通知を出し、送った控えを残しておこう。

書面を受け取ったその場で、確かめること

  • 購入価格と、型式の欄に自分の品物の型番・製造番号が書かれているか
  • 業者の名称・住所・電話番号、担当者の氏名、年月日があるか
  • クーリング・オフと引渡しの拒絶に関する事項があり、赤枠に赤字の注意書きがあるか
  • 「キャンセル不可」「断ると減額」の記載が無いか。あれば、その記載自体が基準違反
  • 受け取った日を控える。8日間はこの日から数える。書面が無ければ、まだ始まっていない
この記事の結論

出張買取で渡される書面には何が書いてあるべきですか

決められた14項目が要ります(特定商取引法58条の7、施行規則132条)。渡されなかったり、項目が欠けていたりすると、8日間の数え始めが来ません。「もう8日過ぎた」と言われる前に、書面を見よう。

気になったら

ピアノがいくらになるか、無料で査定だけ頼めます

査定だけ頼んで売らなくてもかまいません。多くの店が査定料とキャンセル料を無料と書いています。頼む前に、型番・製造番号・搬出経路の3つを控えておくと、回答の幅が狭まります。

よくある質問

書面をもらっていません。クーリング・オフはできますか

クーリング・オフの8日間は、法定の書面を受け取った日から数えます(特定商取引法58条の14第1項)。書面が無い、または必要な記載が欠けている場合は起算日が来ないので、8日間は進行しません(消費者庁の逐条解説)。書面が無いことは、期間が切れたことではなく、まだ始まっていないことを意味します。

書面の代わりにメールやPDFで送られてきました。有効ですか

業者は、相手の承諾を得たうえで、書面に記載すべき事項を電磁的方法で提供することができます(58条の7第2項)。承諾していないのに送られてきた場合は、法定の交付にあたるかどうかが問題になります。承諾した覚えが無ければ、紙の書面を求めよう。

「キャンセル不可」「8日以内に断ると値引き」と書いてあります

書面には、契約の解除ができない旨を定めてはならず、引渡しの拒絶をする人に不利な価格の内容を定めてはなりません(施行規則133条1項)。この記載があること自体が基準に反していて、記載があってもクーリング・オフと引渡しの拒絶はできます。書面はそのまま取っておこう。

領収書や査定書は書面の代わりになりますか

法定の書面は、58条の7と施行規則132条が定める項目をすべて含み、133条の基準(赤枠・赤字の注意書き、8ポイント以上の文字)を満たすものです。金額と品名だけの紙は、この要件を満たしません。受け取った紙に14項目があるかを、本文の一覧と照らし合わせよう。

書面にある「引渡しの拒絶」とは何のことですか

クーリング・オフの8日間が過ぎるまでは、引渡しの期日が決まっていても、品物を業者に渡すのを断れるという決まりです(特定商取引法58条の15)。書面には、この事項を書くことになっています(58条の7第1項6号)。売るかどうか迷っているなら、8日間は品物を手元に置いたまま考えよう。

注記

条文はデジタル庁のe-Gov法令検索で、解釈は消費者庁の逐条解説で、2026年9月11日に確認しました。 最終更新 2026年10月8日 / 数値確認 2026年9月11日 / 編集方針 / 誤りの指摘