買取全般 / 制度

買取店に控えられた身分証と取引記録は何年残る?

萬見編集部 /公開 2026年9月12日 /更新 2026年10月9日 /確認 2026年9月11日

店に残るのは、住所・氏名・職業・年齢と取引の中身

買取店で身分証を出したら、職業まで聞かれ、店員が型番を細かく書き取っていた。 あの情報は、どこに、いつまで残るのだろう。

先に、売った場面ごとの答えを並べておきます。

売った場面店に残るもの根拠の条文
代金の総額が1万円以上住所・氏名・職業・年齢と取引の中身古物営業法16条
1万円未満(下の行の品目を除く)原則として記録は不要16条ただし書、15条2項
1万円未満でも、本・CD・ゲームソフト・バイクの部品など記録される施行規則16条2項
記録が残る期間最終の記載から3年間、営業所に18条1項

古物営業法と同法施行規則の条文(e-Gov)を、編集部が読んで作りました。

買取店(古物商)は、古物を受け取ったり引き渡したりするたびに、帳簿かそれに準ずる書類、または電磁的な記録に、決められた事項を残さなければなりません(古物営業法16条)。事項は5つの号に分かれていて、取引の年月日、古物の品目と数量、古物の特徴、相手方の住所・氏名・職業・年齢、本人確認としてとった措置の区分と方法です。

職業と年齢を聞かれるのは、4号があるから

住所と氏名だけでなく、職業と年齢まで記録の対象です。身分証を出したときに職業を口頭で聞かれるのは、この4号があるためです。聞かれたら、そのまま答えよう。

型番や製造番号を書き取るのは、3号があるから

特徴の欄には、型番や製造番号、傷や刻印のような、その1点を特定できる情報が入ります。ピアノなら型番と製造番号、時計ならリファレンスとシリアルです。後から現物と照合するための欄なので、店員が細かく書き取るのは手順どおりです。

レシートに見える紙が、法定の記録のこともある

帳簿の様式は国家公安委員会規則で定められていて、取引伝票のように取引ごとに記載できる書類でも代えられます(施行規則17条2項)。伝票を使う店は、営業所の取引の順にとじ合わせておく決まりです(同3項)。正直に言うと、レシートのような1枚の紙に見えても、それが法定の記録を兼ねている店があります。住所や品目を書く紙を渡されたら、間違いが無いかを読んでから返そう。

アドバイス

売る前に、型番と製造番号を自分でも写しておこう

店の帳簿の特徴の欄と同じ情報を、自分も持っておくといい。型番・製造番号・目立つ傷を、売る前にスマホで撮っておこう。あとで何を売ったかを説明する場面が来ても、店の記録と同じ物差しで話せる。

保存は最終の記載から3年間。失くしたら警察署長に届け出る

店は、この帳簿や書類を最終の記載をした日から3年間、営業所に備え付けて保存しなければなりません(古物営業法18条1項)。電磁的な記録の場合は、記録した日から3年間、営業所で直ちに書面に表示できる状態で保存します。

3年は、あなたが売った日からではなく、その帳簿の最終記載日から数えます。1冊の帳簿に取引が続いて書き足されていれば、最初の方の記録はさらに長く残ります。売ってから3年たっても、記録が消えたとは限らないと考えておこう。

帳簿や記録を壊したり失くしたりしたときは、店は直ちに営業所の所在地を管轄する警察署長に届け出る決まりです(18条2項)。電磁的な方法で保存する場合の基準は国家公安委員会が定め、店はそれを確保するよう努めます(施行規則19条)。

3年という期間は古物営業法の帳簿の話です。消費税法や犯罪収益移転防止法にも別の記録と保存の定めがあり、同じ取引でも法律ごとに残る期間が違います。店に何年残るかを聞くときは、どの記録の話かも確かめよう。

1万円未満は原則免除。ただし本・CD・ゲームは残る

記録の義務が免除される取引があります。代金の総額が1万円未満の取引など、本人確認が免除される場合(15条2項各号)は、記録も原則として不要です(16条ただし書)。

免除の線は取引の金額で引かれています。1点ずつは安くても、まとめて売って対価の総額が1万円以上になれば、総額で判定します。

1万円未満でも記録される品目

1万円未満でも本人確認を省けない品目が、施行規則16条2項に並んでいます。この品目は15条2項の免除から外れるので、記録も免除されません。

  • 自動二輪車と原動機付自転車(部分品を含む)
  • エアコンの室外ユニット、電気温水機器のヒートポンプ
  • 家庭用のゲームソフト
  • CD・DVDなど、光学的方法で音や影像を記録した物
  • 電線、金属製のグレーチング
  • 書籍

本やCD・ゲームソフトは、1万円未満でも住所・氏名が記録されます。逆に、衣類や時計・宝飾品を1万円未満で売った場合は、店に記録が残らないのが法律の側の原則です。本人確認が免除される取引の範囲と確認の方法は、買取で本人確認が必要なのはなぜ?に書いています。

アドバイス

本やゲームを売る日は、少額でも身分証を持っていこう

本・CD・DVD・ゲームソフトは、金額が小さくても本人確認と記録の対象になる。数冊だけだからと手ぶらで行かず、免許証かマイナンバーカードを財布に入れておこう。売ったあとは、何を何冊売ったかを自分でもメモしておけばいい。

店が売る側に回るときは、美術品・時計・宝飾品・車とバイク

記録の相手は「相手方」で、売る人だけでなく、店が古物を引き渡した相手も含みます(16条)。ただし店が引き渡す側では、記録が要る古物が美術品類、時計・宝飾品類、自動車(部分品を含む)、自動二輪車と原動機付自転車(部分品を含む)に限られます(16条ただし書、施行規則18条1項)。規則で定める古物を引き渡した相手方は、相手方の記録から除かれます(16条4号の括弧書き)。中古の時計や宝飾品を店で買う側に回っても、店の記録に名前が残ることがあります。

記録は盗品をたどるためのもの。控えは自分で作る

この記録は、盗品や遺失物が持ち込まれたときに、誰がいつ何を持ち込んだかをたどるためのものです。売った側の手元には、法律上の控えは残りません。店が発行する買取明細や領収書は店ごとの様式で、法定の記録そのものではありません。

自分がいつ・どこで・何を売ったかを後から示せるように、店名・許可番号・日付・品目・金額は、自分でも控えておこう。店の許可番号は公安委員会の一覧と照合でき、手順は買取店の古物商許可はどう確かめる?に書いています。許可の無い店には、この記録の義務そのものがかかっていません。番号が見当たらない店では、売る前に番号を聞いてみよう。

アドバイス

売った日のうちに、店名と許可番号をメモに残そう

店の帳簿は盗品をたどるためのもので、売った人の手元には控えが残らない。店名、許可番号、日付、品目、金額、見せた身分証の種類を、売った日のうちにスマホのメモに書いておこう。明細や領収書をもらったら、写真に撮って同じメモに付けておけばいい。

売るときに、控えておくこと

  • 店名・許可番号・取引の日付・品目・金額を、自分のメモに残す
  • 提示した身分証の種類と、写しを取られたかどうかを控える。写しの保管は条文の要求ではない
  • 職業と年齢を聞かれるのは16条4号のため。聞かれた内容をそのまま伝える
  • 本・CD・ゲームソフト・バイクの部品は1万円未満でも記録される。衣類や時計・宝飾品は1万円未満なら原則記録されない
  • 記録は最終記載から3年間、営業所に残る。失くした店は警察署長に届け出る義務がある
この記事の結論

買取店に渡した身分証の情報は何年残りますか

買取店に伝えた住所・氏名・職業・年齢は、店の帳簿に3年間残ります(古物営業法16条・18条)。代金1万円未満なら原則記録されませんが、本・CD・ゲームソフトなどは金額に関係なく残ります。売った日のことは自分でも控えよう。

気になったら

ピアノがいくらになるか、無料で査定だけ頼めます

査定だけ頼んで売らなくてもかまいません。多くの店が査定料とキャンセル料を無料と書いています。頼む前に、型番・製造番号・搬出経路の3つを控えておくと、回答の幅が狭まります。

よくある質問

身分証のコピーを取られました。法律で決まっていますか

古物営業法が店に求めているのは、住所・氏名・職業・年齢と本人確認の方法を帳簿などに記録することで(16条)、写しを保管する義務は条文にありません。ただ、代金200万円を超える貴金属などを現金で売るときは、犯罪収益移転防止法で店に確認記録を作って7年間保存する義務があり(同法4条1項・6条、施行令7条1項6号)、金と白金の地金は、買い取った事業者が売った人の本人確認書類(住民票の写しなど)を保存しないと、仕入税額控除を受けられない決まりです(消費税法30条11項)。コピーを取られるときは、何に使い、いつまで持つのかを店に聞いてみよう。

1万円未満の取引なら、何も記録されませんか

代金の総額が1万円未満の取引は、原則として記録が免除されます(古物営業法16条ただし書、15条2項)。ただし書籍、CD・DVDなど、家庭用ゲームソフト、自動二輪車と原動機付自転車(部分品を含む)のように施行規則16条2項に並ぶ品目は、金額に関係なく本人確認と記録の対象です。本やゲームを売る日は、少額でも身分証を持っていこう。

記録は紙の帳簿ですか、それとも電子ですか

帳簿でも、取引伝票のようにそれに準ずる書類でも、電磁的な記録でもかまいません(16条、施行規則17条)。電磁的な記録は、営業所で直ちに書面に表示できる状態で3年間保存する決まりです(18条1項)。

店が記録を失くしたらどうなりますか

帳簿や電磁的記録を壊したり失くしたりしたときは、店は直ちに営業所の所在地を管轄する警察署長に届け出なければなりません(古物営業法18条2項)。届け出た後の扱いは条文に無く、警察の判断になります。

店に残った記録は、誰が見るのですか

古物営業法で帳簿を検査できると定められているのは、警察職員です。必要があると認めるときは、営業時間中に営業所へ立ち入り、帳簿などを検査して関係者に質問できます(22条1項)。盗品などについては、警察本部長などが店に報告を求めることもできます(同条3項)。

注記

条文はデジタル庁のe-Gov法令検索で2026年9月11日に確認しました。1万円未満でも記録される品目の記述は、2026年10月2日に施行規則16条・18条を読み直して直しました。よくある質問の犯罪収益移転防止法と消費税法30条11項の記述は、2026年10月9日に条文を読んで直しました。 最終更新 2026年10月9日 / 数値確認 2026年9月11日 / 編集方針 / 誤りの指摘