買取全般 / 制度

相続した物を売ったら税金はかかる?

萬見編集部 /公開 2026年9月12日 /更新 2026年10月9日 /確認 2026年9月11日

相続した家財を売ったお金は非課税

親の家を片付けていて、家具や食器、古い掛け軸を買取店に出そうとしている。 相続した物を売ったお金に、税金がかかるのかが気になっている。

場面どうなるか根拠
相続した家具・家電・衣類を売る所得税は非課税。申告も要らない所得税法9条1項9号
1個または1組30万円超の貴金属・書画・骨とうを売る利益が出れば課税。取得費と所有期間は亡くなった人から引き継ぐ所得税法33条・60条1項
限定承認で相続した物を売る引き継がず、取得のときの価額で取得したとみなす所得税法60条4項
相続放棄を考えている売るのは、放棄するかを決めてから民法921条

所得税法・民法の条文と、国税庁のタックスアンサー No.3105 から作成。

自分で買った家財と、扱いは同じ

家具・家電・衣類・食器のような、生活に通常必要な動産を売って得たお金は、所得税が非課税です(所得税法9条1項9号)。この定めは、売る人がその物をどう手に入れたかを問いません。自分で買った家財も、相続した家財も、売ったときの扱いは同じです。申告も要りません。

家財の範囲は、家具や什器、通勤用の自動車、衣服など、生活に通常必要な動産です。国税庁のタックスアンサー(No.3105)がこの範囲と、非課税から外れる貴金属・書画・骨とうの30万円の線を説明しています。ピアノがどちらに入るかを公的資料が答えていないことは、税金の記事に書いたとおりです。

相続税を払ったかどうかは、関係しない

相続税は相続した時点の財産にかかる別の税で、売ったときの所得税は売った物が何かで決まります。相続税を払ったかどうかは、この判定に関係しません。家財の非課税の範囲と、課税になる場合の計算の流れは買取で受け取ったお金に税金はかかる?に書いています。

買取店に出す前に、30万円を超えそうな貴金属・書画・骨とうと、ピアノだけは、ほかの家財と分けておこう。

30万円超の貴金属・書画・骨とうは課税

生活用動産のうち、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・書画・骨とう・美術工芸品は、非課税から外れます。売って利益が出れば総合課税の譲渡所得で、50万円の特別控除を引いた残りが課税の対象です(33条)。

取得費と所有期間は、亡くなった人のものを引き継ぐ

相続した物をこの区分で売る場合、計算に使う取得費と所有期間は、亡くなった人のものを引き継ぎます。条文は、相続や遺贈、贈与で取得した資産を譲渡したときは「その者が引き続きこれを所有していたものとみなす」と書いています(60条1項)。

取得費は亡くなった人が買った金額、所有期間は亡くなった人が買った日から数えます。相続した日や相続税の評価額ではありません。

相続した直後に売っても、短期にはならない

所有期間が5年を超えるかどうかで、課税される金額の計算が変わります(22条2項2号・33条3項)。亡くなった人が10年前に買った骨とうを相続した翌月に売っても、所有期間は10年として長期の側で計算します。

並べてみると、相続した物は自分で買った物より長期の側に入りやすい構造になっています。相続した直後に売っても、それだけで短期になることはありません。亡くなった人が買った日が、そのまま所有期間の起点になると覚えておこう。

50万円の特別控除は、その年の全体で1回

50万円の特別控除は、その年の総合課税の譲渡所得の全体に対して1回です。相続した骨とうを何点も売った年は、合計した利益から50万円を引きます。何点も売るなら、1点ずつではなく、その年に売った物をまとめて記録しておこう。

亡くなった人がいくらで買ったか分からないとき

取得費を引き継ぐ以上、亡くなった人がいつ・いくらで買ったかの記録が要ります。領収書、保証書、購入時の明細、鑑定書、日記や家計簿の記載が手がかりになります。

遺品整理で買取店を呼ぶ前に、高額になりそうな品の購入記録を先に探しておこう。売った後に探すより、片づけの途中の方が見つかります。

アドバイス

相続した品は、自分の物と分けて1枚にまとめよう

相続した物を自分の物と混ぜてしまうと、どれがどの取得費かが分からなくなる。品目・取得の経緯・見つかった記録を1枚の紙にまとめてから、買取店に出そう。記録が見つからない品も、見つからなかったことを書いておけばいい。

記録が見つからない場合にどう計算するかは、条文だけでは決まりません。個別の事情で結論が変わるので、税務署または税理士に確認してください。この記事では計算例を作っていません。

限定承認をした場合は、引継ぎではなく時価で取得したとみなす

限定承認なら、60条1項の引継ぎは使わない

60条1項の引継ぎの定めは、相続のうち限定承認に係るものと、包括遺贈のうち限定承認に係るものを除いています。その場合は、取得のときの価額に相当する金額で取得したものとみなす定め(60条4項)が使われ、取得費の考え方が変わります。

限定承認は家庭裁判所への申述で行うもので、単純承認や放棄との違いは遺品を売ると相続放棄できなくなる?に書いています。限定承認をした人は、この記事の引き継ぎの計算を、そのまま当てはめないでおこう。

税金より先に、放棄するかを決める

正直に言うと、相続した物を売る場面で税金より先に効くのは、相続放棄との順番です。放棄を考えているなら、税金の計算の前に、売ってよいかどうかを決める必要があります。

放棄をした人は、その物を売る立場にありません。放棄した後に遺品を売って代金を自分のものにすると、単純承認をしたものとみなされる可能性があります(民法921条3号)。税金以前の問題として、放棄と売却は両立しません。

アドバイス

放棄を考えているなら、売るのは決めてからにしよう

放棄するかを決める前に遺品を売ると、単純承認とみなされることがある。放棄した後に売って代金を受け取るのも、同じ扱いになりうる。どちらにしても、税金の計算は放棄するかを決めてからでいい。まず、売らずに残しておこう。

相続した物を売る前に、確かめること

  • 売る物が生活用の家財か、30万円を超える貴金属・書画・骨とうか
  • 相続放棄や限定承認を考えているなら、売る前に決める。売ると単純承認とみなされることがある
  • 高額になりそうな品は、亡くなった人の購入記録(領収書・保証書・鑑定書)を先に探す
  • 取得費と所有期間は亡くなった人のものを引き継ぐ。相続した日からではない
  • 記録が見つからない品も、見つからなかったことを書き残しておく
この記事の結論

相続した物を売ったお金に税金はかかりますか

相続した家財を売ったお金にも、所得税はかかりません。30万円を超える貴金属や骨とうだけが課税の対象で、亡くなった人が買った値段と買った日を引き継いで計算します(所得税法60条)。売る前に、購入の記録を探しておこう。

気になったら

ピアノがいくらになるか、無料で査定だけ頼めます

査定だけ頼んで売らなくてもかまいません。多くの店が査定料とキャンセル料を無料と書いています。頼む前に、型番・製造番号・搬出経路の3つを控えておくと、回答の幅が狭まります。

よくある質問

相続税を払った物を売ったら、また税金がかかりますか

相続税と所得税は別の税で、売ったときの所得税は売った物が何かで決まります。生活に通常必要な家財なら非課税(所得税法9条1項9号)、1個または1組30万円を超える貴金属・書画・骨とうなら総合課税の譲渡所得の対象です。相続税を払ったかどうかで、この判定は変わりません。

亡くなった人がいつ、いくらで買ったか分かりません

相続で取得した資産は、相続した人が引き続き所有していたものとみなして計算します(所得税法60条1項)。取得費は亡くなった人が買ったときの金額で、所有期間もその取得日から数えます。領収書・保証書・鑑定書などの購入の記録を、売る前に探しておこう。

所有期間は自分が相続してからの期間ですか

違います。60条1項により、亡くなった人が所有していた期間を引き継ぎます。総合課税の譲渡所得は、所有期間が5年を超えるかどうかで課税される金額の計算が変わり(所得税法22条2項2号・33条3項)、亡くなった人が長く持っていた物なら、相続した直後に売っても長期の側で計算します。

生前に親からもらった宝石や骨とうを売るときも、同じですか

同じです。所得税法60条1項1号は、相続・遺贈と並べて贈与で取得した資産も、取得した人が引き続き所有していたものとみなすと定めています。取得費は親が買ったときの金額、所有期間は親が買った日から数えるので、もらうときに購入の記録も一緒に受け取っておこう。

限定承認をした場合も同じですか

同じではなく、60条1項の引継ぎの定めは、限定承認に係る相続と、包括遺贈のうち限定承認に係るものを除いています。その場合は取得のときの価額で取得したものとみなす別の定め(60条4項)が使われます。限定承認をしたなら、この記事の引き継ぎの計算は、そのまま当てはめないでおこう。

注記

根拠にした資料

確認日
2026年9月11日(この日に各資料の内容を確かめました)
根拠
法令の条文と官公庁のページだけを根拠にしています。民間サイトの説明は使っていません。
資料
e-Gov 法令検索 所得税法(9条1項9号・22条2項・33条・60条) 令和8年8月12日施行版
国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
国税庁 No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)
e-Gov 法令検索 民法(921条) 令和8年6月24日施行版

条文はデジタル庁のe-Gov法令検索で、課税の区分は国税庁のタックスアンサーで、2026年9月11日に確認しました。税務の個別の結論は事情によって変わります。 最終更新 2026年10月9日 / 数値確認 2026年9月11日 / 編集方針 / 誤りの指摘