買取全般 / 制度

出張買取は危ない?トラブルを避ける決まり

萬見編集部 /公開 2026年9月11日 /更新 2026年10月9日 /確認 2026年9月11日

報告されている手口は、ほとんどが条文で名指しされている

使わなくなった食器や着物を、家まで見に来てもらおうか迷っている。 調べると、貴金属を強引に買い取られた話も出てきて、呼んでよいのか分からない。

国民生活センターの資料に出てくる手口を、場面ごとに条文と並べました。

場面禁じられていること条文
電話・玄関業者名や買い取る物品の種類を告げずに話を進める58条の5
頼んでいない家承諾なしに訪ねて勧誘する。電話と違う品目を勧誘する58条の6第1項
断ったあと「売らなくてもいいから見るだけ」と粘る58条の6第2項・第3項
契約するとき長時間居座る、大声で脅して契約させる58条の10第3項
書面品物の種類・特徴・購入価格を書いた書面を渡さない58条の7・58条の8
引渡しクーリング・オフ期間中は引渡しを拒めることを告げない58条の9

国民生活センターの資料と、特定商取引法の条文から作成。

並べてみると、その多くが特定商取引法の禁止規定にそのまま当たりました。表のどれかに当たる相手なら、話の途中でも断ろう。

始まりは電話。断りにくい聞き方をしてくる

訪問の承諾をその場で取ろうとし、「何でもよいから不用品はないか」と、断りにくい聞き方をします。「被災地支援のため」「海外支援のため」と親切心に働きかける例も資料に挙がっています。

電話では食器や古着と言っておいて、来てから貴金属を見せてほしいと言われたら、それは承諾なしの訪問と同じ条文(58条の6第1項)が禁じる勧誘です。その場で断ろう。

断っても、電話が続くことがある

断ったのに何度も電話がかかってくる事例は、2024年9月18日の資料でも引き続き見られると報告されています(58条の6第3項)。

名乗りと勧誘に関する58条の5・58条の6は、違反そのものに罰則がありません。指示(58条の12)と業務停止命令(58条の13)の対象になります。続くときは、日時と言われたことを控えておこう。

報告されている手口は、電話の段階から契約後まで各段階に散らばっている
報告されている手口は、電話の段階から契約後まで各段階に散らばっている

アドバイス

一度断ったら、話を聞き続けなくていい

「売らなくてもいいから見るだけ」「外では話ができない」は、断った相手への粘りとして資料に挙がっている言い方だ。売らないと決めたら、玄関を開けずにはっきり断ろう。それでも続くなら、消費者ホットライン188に電話しよう。

家電・家具・自動車は規制の外。切手は中に入る

訪問購入の規制は、すべての品物にかかるわけではありません。施行令34条が挙げる物品は対象から外れます。家電(携行が容易なものを除く)、家具、自動車(二輪を除く)、有価証券、書籍、CD・DVD・ゲームソフトなどです。

外れた物品の取引には、訪問購入の規定そのものがかかりません。書面の交付もクーリング・オフも、訪問購入のルールとしては求められないことになります。冷蔵庫を引き取りに来た業者を思い浮かべると、ここまでに書いた条文番号が並ぶ前提が崩れます。冷蔵庫や家具を売るときは、後から取り消せる前提で考えず、金額と条件に納得してから決めよう。

一方で、郵便切手やはがきは有価証券に当たらず、使用済みかどうかを問わず訪問購入の規制対象と解されています(消費者庁の逐条解説 四〇六頁)。券面に額が刷ってあっても外れない、という線引きです。切手を見に来てもらうなら最初の表の決まりがそのまま当てはまるので、名称と品目を聞き返してから呼ぼう。

相談は2年続けて減っている

国民生活センターに登録された訪問購入の相談は、2023年度が8,623件、2024年度が7,909件、2025年度が7,523件です。2023年度をピークに、2年続けて減りました(2026年7月31日更新)。

2026年度は、2026年5月31日現在の登録分で826件です。前年の同じ時点が823件なので、入り方はほぼ同じです。年度の途中の数字なので、前の3年分と並べて増減を読むことはできません。

この件数には、消費生活センター等から国民生活センターに回された経由相談が含まれていません。登録されているのは相談であって、法違反と判断された件数ではありません。

正直に言うと、ここは物足りませんでした。同じページに2022年度以前の数字が無いため、編集部は3年分より長い推移を書けていません。件数の増減より、自分の家に来る業者が決まりを守っているかを確かめよう。

相談の当事者は60歳以上が8割近く、女性が75.7%

2022年度に受け付けた相談の年代別内訳(n=6,956)は、次のとおりです。

年代相談全体に占める割合
70歳代1,994件28.7%
80歳代1,974件28.4%
60歳代1,184件17.0%
50歳代787件11.3%
90歳以上353件5.1%
40歳代353件5.1%
40歳未満311件4.5%

国民生活センターの資料から。

70歳代と80歳代がほぼ並んで最も多く、資料は契約当事者が60歳以上の割合を「全体の8割近く」と書いています。男女別(n=7,436)は、女性5,627件(75.7%)、男性1,809件(24.3%)です。

2024年9月18日の資料は、貴金属が持ち去られたような深刻な事例について「主に80歳以上の女性が当事者」と書いています。これは資料が紹介した事例についての記述で、相談全体の構成ではありません。

年代別の内訳は2022年度受付分の数字です。2023年度以降の構成比は、編集部では確認できていません。

アドバイス

離れて暮らす親と、電話の受け方を決めておこう

親が一人で電話を受けるなら、その場で訪問を約束しないこと、業者の名称と何を買いに来るのかをメモすることを、前もって話しておこう。来てもらうと決めたら、家族が立ち会える日にしてもらおう。

呼ぶ前に確かめられるのは、業者が名乗る義務を負っている3つ

業者は勧誘を始める前に、氏名または名称、買い取りの勧誘が目的であること、勧誘する物品の種類、の3つを明らかにしなければなりません(58条の5)。電話でも訪問でも、この3つを聞き返せば、相手が義務を果たしているかがその場でわかります。

名称は、通称だけでは足りない

「××買取センター」のような架空の名称や通称だけでは、名称を告げたことになりません(逐条解説 四〇七頁)。訪問を承諾する前に、登記上の名称を言ってもらおう。

品目は、「不用品」では足りない

「不用品」「不必要な物品」という言い方も、物品の種類を明示したことになりません(同 四〇八頁)。何を買いに来るのかを、品目の名前で言ってもらおう。

電話を切る前に、名称・目的・物品の種類の3つを言葉にしてもらう
電話を切る前に、名称・目的・物品の種類の3つを言葉にしてもらう

アドバイス

電話を切る前に、3つを言葉にしてもらおう

「どちらの会社ですか」「何を買いに来ますか」と聞き返そう。名称と品目をはっきり言えない相手なら、訪問の約束はしなくて大丈夫だ。聞いた答えは、日付と一緒にメモしておこう。

身分証と、契約したあと

身分証の携帯と提示は、特定商取引法上の義務ではありません。ただし古物商の出張買取は古物営業法の「行商」にあたり(解釈運用基準 第5の3)、求められたら許可証か行商従業者証を見せる義務があります(古物営業法11条3項)。玄関で、どちらかを見せてほしいと頼もう。

契約したあとも、法定の書面を受け取った日から起算して8日を経過するまではクーリング・オフができ(58条の14第1項)、その間は品物の引渡しを拒めます(58条の15)。書面を受け取った日は、カレンダーに書いておこう。

困ったときの窓口

まずは消費者ホットライン188です。郵便番号などから近くの相談窓口を案内する全国共通の3桁番号で、原則毎日使えます。窓口につながった時点から通話料がかかり、相談自体は無料です。

話し中のときは、国民生活センターのバックアップ相談(03-3446-0999、平日10時〜16時)があります。警察に相談するなら警察相談専用電話#9110で、発信地を管轄する警察本部等の窓口につながります。

勝手に家に上がられた、脅すような言動をされた、盗難の被害にあったおそれがある場合は直ちに110番するよう、2024年9月18日の資料は呼びかけています。188と#9110は、電話のそばに書いておこう。

この記事の結論

出張買取は危ないですか

出張買取には法律の決まりがあり、業者は勧誘の前に名称・目的・買う品目を告げる義務があります(特定商取引法58条の5)。報告されている手口は、ほとんどが条文で禁じられています。呼ぶ前に、この3つを聞き返そう。

気になったら

ピアノがいくらになるか、無料で査定だけ頼めます

査定だけ頼んで売らなくてもかまいません。多くの店が査定料とキャンセル料を無料と書いています。頼む前に、型番・製造番号・搬出経路の3つを控えておくと、回答の幅が狭まります。

よくある質問

電話では食器と言われたのに、来たら指輪を見せてほしいと言われました

断れます。電話で伝えた品目と違う物を訪問時に勧誘する行為は、飛び込み勧誘と同じく禁じられています(特定商取引法58条の6第1項)。国民生活センターも2023年9月27日の公表資料でこの手口を挙げているので、指輪は見せずに断ろう。

「被災地支援のため」と言われました。断りにくいのですが

国民生活センターは、親切心につけこむ言い方として「被災地支援のため」「海外支援のため」を挙げています(2023年9月27日公表)。理由が何であれ、勧誘の目的と買い取る品目を告げる義務は変わりません(同法58条の5)。断ったあとの再勧誘も禁じられているので(同法58条の6第3項)、売る気が無ければはっきり断ろう。

家電を売るときも、このルールは効きますか

携行が容易なものを除く家電は、訪問購入の規制の対象外です(特定商取引法施行令34条)。家具、自動車(二輪を除く)、有価証券、書籍、CD・DVD・ゲームソフトも同じです。切手とはがきは有価証券に当たらないため、対象に入ります。

自分から業者を呼ぶときも、同じように守られますか

自宅で売る契約をしたいと自分から求めて呼んだ場合は、書面の交付やクーリング・オフ、引渡しの拒絶などの規定(58条の7〜58条の16)が外れます(特定商取引法58条の17第2項1号)。名称・目的・品目を告げる義務(58条の5)と、勧誘を受ける意思の確認・断ったあとの再勧誘の禁止(58条の6第2項・第3項)は残ります。電話では「査定だけ来てほしい」と伝えて、売るかどうかは金額を聞いてから決めよう。

困ったときはどこに相談すればよいですか

消費者ホットライン188に電話すると、近くの消費生活センター等の窓口を案内されます。話中のときは国民生活センターのバックアップ相談(03-3446-0999、平日10時から16時)が使えます。身の危険を感じたときや盗難のおそれがあるときは110番するよう案内されています。

注記

国民生活センター・消費者庁・警察庁の公表資料と、特定商取引法・古物営業法の条文を編集部が確認して書きました。個別の被害については消費生活センターまたは警察に相談してください。 最終更新 2026年10月9日 / 数値確認 2026年9月11日 / 編集方針 / 誤りの指摘