遺品整理 / 制度

遺品整理はいつから始める?期限のある手続きと順番

萬見編集部 /公開 2026年10月2日 /更新 2026年10月8日 /確認 2026年10月2日

片付けに期限は無い。期限があるのは手続き

親を見送って、まだ日が浅い。 実家の物に手を付けるのは早い気もするし、何かに遅れていないかも気になる。

先に、期限があるものだけを並べておきます。

期限があることいつまでに例: 1月6日に知った場合根拠
相続放棄・限定承認知った時から3か月以内4月6日民法915条
亡くなった人の所得税の申告(要る人だけ)知った日の翌日から4か月以内5月6日所得税法125条
相続税の申告(要る人だけ)知った日の翌日から10か月以内11月6日相続税法27条
賃貸の部屋の解約契約書の解約予告による契約書を見る賃貸借契約

例の日付は、国税庁 No.4205 の例(1月6日に亡くなった場合の相続税)にそろえました。3か月も、知った日は数えません(民法140条)。

期限のある条文を並べてみると、どれも片付けではなく、手続きの期限でした。 遺品の片付けそのものに、法律の期限はありません。気持ちが追いつくまで、待ってかまいません。

ただ、いちばん上の3か月だけは、片付けの順番に関わります。遺品を処分すると、放棄を選べなくなることがあるからです。

アドバイス

最初の1か月は「探す」だけにしよう

捨てる・売る・譲るは、期限のある手続きの見通しが立ってからでいい。最初に実家へ行く日は、遺言書・通帳・権利書・契約書を探す日にしよう。袋に詰めるのは、そのあとだ。

相続放棄の3か月。決めるまでは捨てない・売らない

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、単純承認・限定承認・放棄のどれかを選びます(民法915条1項)。放棄は、家庭裁判所への申述で行います(938条)。

起点は亡くなった日ではなく、自分が相続人になったと知った時です。親が亡くなったことをその日に知った子なら、その日が起点です。3か月後の日付を、カレンダーに書いておこう。

決めるまでの間、相続人は自分の財産と同じ注意で遺品を管理する決まりです(918条)。そして、相続財産の全部または一部を処分すると、単純承認をしたものとみなされます(921条1号)。売る・捨てる・人に譲るは、放棄を決めてからにしよう。

迷っているなら、時間は取れます。相続人は承認や放棄の前に財産を調べられ(915条2項)、3か月で足りなければ、家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられます(915条1項ただし書)。申し立ては、3か月のうちに済ませよう。

借金が無いと分かっていて相続するなら、3か月は片付けを縛りません。何もしないまま過ぎれば単純承認をしたものとみなされ(921条2号)、それが相続を受けることだからです。

何が処分にあたるかは、遺品を売ると相続放棄できなくなる?に書きました。売る前に読んでおこう。

アドバイス

届いた郵便は、捨てずに1か所にまとめよう

カードの明細、ローンの通知、保証の書類は、亡くなってから届くことがある。封筒ごと1つの箱に入れて、3か月のうちに中を確かめよう。放棄するかどうかは、それを見てから決めればいい。

相続税と所得税の申告は、一覧を作ってから片付ける

相続税は10か月

相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条1項)。申告が要るのは、相続などで受け取った財産の合計が基礎控除額を超えるときです(国税庁 No.4205)。基礎控除額は、3,000万円と、600万円に相続人の数を掛けた額の合計です(15条1項)。

申告書には、亡くなった時の財産と債務の明細を付けます(27条4項)。家財や貴金属、骨とうも財産です。 売る前、捨てる前に、何があったかの一覧と写真を残そう。

所得税は4か月

亡くなった人に確定申告が要る所得があったときは、相続人がその年の分を申告します。期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までです(所得税法125条1項)。国税庁は「準確定申告」と呼んでいます。

源泉徴収票、年金の通知、医療費の領収書は、片付けの途中で捨てずに取っておこう。

売ったときの税金は、相続した物を売ったら税金はかかる?に書きました。申告が要るかどうか迷うときは、税務署または税理士に確認してください。

賃貸の部屋は、解約予告から逆算する

相続人は、亡くなった人の権利と義務をまとめて引き継ぎます(民法896条)。部屋を借りる契約もその中にあるので、契約が終わるまで家賃がかかります。

解約を申し入れてから何日で契約が終わるかは、賃貸借契約書の解約予告の欄に書いてあります。片付けの期限は、契約が終わって部屋を返す日です。契約書を探し、管理会社か大家さんに亡くなったことを伝えよう。

返すときに直すのは、ふつうに使った傷みと年数による劣化を除いた損傷です(621条)。敷金は、部屋を返したあと、未払いの家賃などを引いた残りが返ってきます(622条の2)。細かい取り決めは契約書にあるので、退去の立ち会いの前に読んでおこう。

相続放棄も考えているなら、解約や荷物の運び出しが処分にあたらないか、先に確かめよう。線引きは条文に無いので、迷うなら弁護士に聞いてから動こう。

部屋を返す日が近く、運び出しを頼むなら、料金の目安は遺品整理の費用の記事に、頼める業者は業者の一覧にまとめています。

状況別の、始める目安

状況始める目安理由
相続放棄を考えている放棄するかを決めてから処分すると放棄できなくなることがある(民法921条)
賃貸で一人暮らしだった解約の日が決まったら契約が終わるまで家賃がかかる
持ち家が空き家になる相続人が集まれる日期限は無い。相続税の申告が要るなら一覧が先
同居の家族が住み続ける気持ちが落ち着いてから急ぐ理由が無い

2つ以上に当てはまるなら、上の行を優先しよう。賃貸で放棄も考えているなら、家賃を気にして運び出す前に、放棄するかを決めるのが先です。

四十九日や一周忌は、法律の期限ではない

四十九日は、亡くなった日から数えて7週ほどの法要です。親族が集まるので形見分けをその日に合わせる家もありますが、これは慣習で、法律の期限ではありません。

並べてみて気づいたのは、四十九日が、3か月の期限より前に来ることです。放棄を考えているなら、形見分けで値の付く物を分けるのは、放棄するかを決めてからにしよう。

形見分けで分ける物も、分けるまでは相続人全員の共有です(民法898条1項)。誰が何を受け取るかは、相続人全員で話して決めよう(907条1項)。

手を付ける前に、探しておくもの

遺言書

遺言書の保管者は、相続の開始を知ったあと遅滞なく、家庭裁判所に出して検認を請求します。保管者がいなければ、見つけた相続人が同じことをします(民法1004条1項)。封のある遺言書は、家庭裁判所で相続人か代理人が立ち会わなければ開けられず(同条3項)、外で開けると過料の対象です(1005条)。

公正証書による遺言と、法務局に保管された遺言書は、検認が要りません(1004条2項、遺言書保管法11条)。それ以外で封のある遺言書は、開けずにそのまま保管しよう。手続きは、裁判所の「遺言書の検認」のページで確かめよう。

通帳・権利書・契約書

通帳、不動産の権利書、保険証券、賃貸借契約書、ローンや保証の書類。表にある期限の手続きは、どれもこの書類から始まります。

アドバイス

書類は1つの箱にまとめ、相続人がそろう日に見よう

見つけた書類を1人で抱えると、あとで何があったかを説明しにくくなる。見つけた日と場所をメモして箱に入れ、相続人がそろう日に中を確かめよう。封のある遺言書だけは、そこでも開けない。片付けを始める日も、その場で決めればいい。

この記事の結論

遺品整理はいつから始めればよいですか

片付けそのものに期限はありません。最初に来るのは相続放棄の期限で、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です(民法915条)。放棄を考えるなら、遺品に手を付ける前に決めよう。

気になったら

遺品整理がいくらになるか、無料で査定だけ頼めます

査定だけ頼んで売らなくてもかまいません。多くの店が査定料とキャンセル料を無料と書いています。頼む前に、型番・製造番号・搬出経路の3つを控えておくと、回答の幅が狭まります。

よくある質問

四十九日の前に遺品整理を始めてもよいですか

始めてかまいません。四十九日は法要の区切りで、法律の期限ではありません。賃貸の部屋の解約が迫っているなら、親族に事情を話して先に進めよう。

3か月のうちに、片付けが終わりそうにありません

3か月以内に決めるのは、相続を承認するか放棄するかで、片付けを終える期限ではありません(民法915条1項)。財産の調査に時間がかかるなら、3か月以内に家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられます。何もしないまま過ぎると、単純承認をしたものとみなされます(921条2号)。

相続税の申告が要るかどうか、分かりません

申告が要るのは、相続などで受け取った財産の合計が基礎控除額(3,000万円と、600万円に相続人の数を掛けた額の合計)を超えるときです(相続税法15条、国税庁 No.4205)。預金・不動産・家財を合わせた一覧を作れば、超えるかどうかの見当がつきます。迷うときは、税務署または税理士に確認してください。

遠方に住んでいて、実家に何度も通えません

最初の訪問は、片付けより書類探しに使おう。遺言書・通帳・権利書・賃貸借契約書がそろえば、期限のある手続きの準備ができます。運び出しを業者に頼むなら、料金の目安は遺品整理の費用の記事にあります。

相続放棄をすれば、実家を片付けなくて済みますか

放棄した人は、その相続について初めから相続人にならなかったものとみなされます(民法939条)。ただ、放棄の時に遺品を現に占有しているなら、相続人か相続財産の清算人に引き渡すまで、自分の財産と同じ注意で保存する決まりです(940条1項)。放棄したあとも、引き渡すまでは捨てずに置いておこう。

注記

条文はデジタル庁のe-Gov法令検索で、手続きは裁判所と国税庁のページで、2026年10月2日に確認しました(FAQ の民法939・940条は10月8日に確認)。個別の事情で結論が変わる箇所は、家庭裁判所・税務署などに確かめてください。 最終更新 2026年10月8日 / 数値確認 2026年10月2日 / 編集方針 / 誤りの指摘